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香港でワタクシに影響を与えた人物

香港で知り合い、8年の仲になるN子は、過去2回、2社で同僚になったことがある友人である。

事の発端はワタクシが外資系へ転職した際の日本語チェックの面接官として現れたのである。

チョット日焼けした小麦色の肌に露出度の高いワンピース、長い黒髪をエレガントに巻いて、可愛い系ではなくクールビューティー系のメイクで、ヒールをカツカツ言わせてやってきた。

負けん気が強そうで、チョット意地悪そうなイイ女系…
ワタクシの空想上のいわゆる「外資系の女」であった。

初めて目にする外資系の女を目の前に、たった数分の会話でワタクシは直感で

あぁ、この女に落とされるのだろう

と思ったのであるが、ふたを開けてみればワタクシを推薦してくれたことがあとから判明。風評被害も良い所である。

同僚になってからもエレガントな風貌を保ち、帰り際も「ごきげんよう」と言って去って行く優雅な立ち振る舞いに、

キットこのオツボネの前でミスをしたら給湯室で焼き入れられるんだわ…

と、武装解除できずにいたワタクシ。

そんなある日、給湯室ではなく、パントリーエリアでコーヒーを入れていると、遠くから聞き覚えのある、あのマロノブラニクのヒールのカツカツ音…(ただの妄想である

こ、これは、あの女が来たに違いない!!

などと戦闘態勢に入っていたのであるが、気づけば彼女はスルスルっとワタクシの鉄壁を溶かし、鎧も外し、周りが日本語わからないのを良い事に、あーでもない、こーでもない恋バナだの周りに聞かれて困る内容を,

いけシャーシャーと話していたものである@仕事しろ。

そんなある日、彼女は転職し、職場で唯一の日本人となり、不安を抱えながらお見送りしたのであるが、それからも定期的に会う中に。

しばらくすると、彼女が「新しい会社に日本人のポジション作ったからアプライしなさい。っていうか、もうキャンディデートいるって報告しておいたから

と、半ば強引に、安定したワタクシの人生をぬるま湯から引きずり出し、血の池地獄の修行の場へ引きずり込んだのである。

というわけで二度目の同僚に…。

二の足はタップダンスばりに踏み続け、石橋があれば壊れるまで叩き潰すワタクシは、こういう強引な導きでもなければ今いる場所からは、動かない。

それを見越して「あなたにあるそのメンタルブロックはこうして壊すべきだ」と長年デモンストレーションし続けた女である。

そんな彼女が切り開いた会社でのポジションへワタクシを誘い込み、本人は数か月後(本当は1年弱)すると、そそくさとステップアップして転職をしていった。

…わ、ワタクシは一体ここでどうすれば…

と思ったもののその会社で今もしぶとく生き延びているワタクシ。まだまだ修行中のみで、右も左も(いい加減分かれ)あやふやなカマトト方向音痴なワタクシをよそに、彼女は金融業界でライセンスをとり、パートタイムで大学院へ通ったかと思えば、MBAまでをとり、そして、今度はイギリスのロースクールに通うという。

え、えげれすだ?!

もはや何を目指しているのかよく分からなくなってきた破天荒なこの女も、さすがに香港を離れる直前になり、愛しさも切なさも覚え始めた様子…

…もちろん、誰よりも圧倒的な…心強さも道連れに。

予感的中。

離れる直前になり会社を設立したとの報告が、。

なんでも大きな案件が既に1件決まりそうな雰囲気で、香港最終日も午前中はクライアントとミーティングを入れていた。

午後はワタクシとランチ、そして共通の元同僚を呼び、ハッピーアワーを過ごし、思い出話から将来への夢を語り笑顔と涙をこぼすと、一人では到底持てなさそうな荷物を抱え、イギリスへと旅立っていくのであった。

その小さくて大きな頼もしい背中を見送り、いつか彼女に胸を張って再開できるよう日々の暮らしを頑張っていきたいなぁと思うのであった。

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