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日本での転職活動その2

かくして15年ぶりに日本で就職活動を行ったワタクシ。
 
最初はほんの出来心、軽い気持ちでリクルーターと話しただけ。ところがそのリクルーターが面白い案件をもってきて下さり、にわかに「数年日本で働いてみるというのも面白いかも知れない」などと本気で思うようになる。
 
そしてその思いは、面接の下準備で会社を調べたり、どんな切り口でその会社に貢献できるかなどを調べていくうちに、その会社への興味がどんどん沸いてしまい…
 
…今の仕事、一切手につかず。
 
取り急ぎ履歴書を和訳し、担当者に添削してもらい、それを提出し、一次面接を取り付けた。面接もリモートでできる便利な時代に感謝しつつ。
 
そして久しぶりの面接。
 
「日本語なんだから楽勝でしょ」
 
と思ったのもつかの間、ンまー日本語が出ないでない。

気を抜くとルー大柴状態になりかけるので、意図的にカタカナを使わないように試みたのであるが
あれ」とか「ええと」を連呼する始末。
 
このままではまずいと思ったワタクシ。
 
序盤の簡単な自己紹介が終わった後、業界の話になった際に
「私はこの業界の仕事は香港に来てから始め、日本語で学ぶ機会がなかったのでもしかしたら専門用語のいくつかが一般的ではないカタカナになる可能性がありますが、もし、ご不明な点等ございましたら…」

という前置きをしたうえで…
 
…ルー大柴になった(笑)
 
もはや専門用語の域を超えた普通の日常会話も「ここで思考と会話が止まるのであればもうカタカナで通そう」と割り切ったのである。
 
もはや小池百合子もドン引きである。
 
が、海外での暮らしが1年だの2年程度ではなく履歴書をご覧いただくとお分かりになるように、留学を含め15年以上とかになるため、そこはすんなり「この人は英語の方が得意なのだろう」というようにとらえられた様子。
 
・・・ま、実際はそんな流暢でもなんでもないのだが。(ドヤ顔)
 
にしても咄嗟の一言が上手く出ないもので、面接が終わる際も

「本日はお時間いただきありがとうございます。もしご不明な点等ございましたらお気軽にご連絡くだs・・・(アレ?!普通こんなこと面接受けた人が言うっけ?!)」

などのやらかしをシコタマしでかす。
 

あぁ、駄目だっただろうなぁ~・・・と半分心に涙を浮かべながら、もう半分、興味をなくしてしまった現在の仕事に戻るワタクシ。
 
…するとその夕方リクルーターから連絡が入り
 
「…どうでしたか?」と神妙な面持ちで聞かれる。
 
 
ど、どうって、ここでワタクシが思いっきり気に入ったと言ったらこの人はどのようにワタクシの心を切り裂くのだろう
 
などと思い、「あ、えぇーと、久しぶりの面接で緊張しました」程度にとどめた記憶がある。
 
が、思いの他、2次面接に進んでもらいたいとお達しが。
通常香港だと面接は1~2回が多い。だからそんなものかと思っていたら…
 
…選考…10回…
 
あの心に冷や汗をかく瞬間をあと10回もしなければならんのかい!!
 
などと思い、面接を続けることに…
 
ところが2回目、3回目と駒を進めるも聞かれることはだいたい同じ。
業界の話になった時に内容がより深くなっていくという点はあるが、
なんとなく聞かれる内容も予測ができ、自分の自己紹介や志望動機などは熱弁をふるえるようになって行くのである。
 
それも香港での政治的状況やコロナ規制の状況などを持ち出しそこに対する思いなど勝手に話し始める始末(当時2022年4月)。
 
そして、8回目に差し掛かったころ、選考から2か月も経ち、ワタクシは香港に戻る運びとなった。
そのころの香港ではホテルで7日間の隔離が必須となっており、役員面接3回は隔離中に行ったが、時間帯的にPCR検査が途中で挟まるかもしれないので、途中で中断させて頂く可能性がありますと伝えたうえで面接。
 
…案の定、面接の大事なところでドアがノックされ、鼻の奥まで綿棒を突っ込まれたワタクシ…
 
あろうことか思いっきりくしゃみをやらかし、係員に「アイヤー!!」と絶叫され(*香港人からしたらレギュラーなボリューム)。

そして、戻ると、まさかのアンミュート状態。つつぬけ~
 
若干笑っていた役員に助けられ、面接を再開。
 
例えばこの会社の面接が1回や2回で終わっていれば、ワタクシはこんなに執着をしないで済んだかもしれない。

ところが面接が10回も行われ、選考に3か月弱もかかり、その期間中、片思いのようにその会社の事ばかり考えたり企業リサーチをしたり、そこで働く未来予想図を描き続けたせいですっかりその会社へ行きたくなってしまい…
 
…そしてその分、現在の仕事への熱意がどんどんなくなっていき…どうしたものかと頭を悩ます日々も、隔離あけ、最後の面接を人事の方と済まし無事終了。
  
それまではひたすら「その会社のオファーが欲しい」願い続けてきたのに、それがいざ叶ってしまうと、今度は「香港で築いてきたものをすべて手放さなきゃならないんだ…」という葛藤に変わる。
 
街を歩き、「この景色とお別れなんだなぁ…」などとしみじみしてみようとすると、、、、
 
…この街の人達は容赦なくぶつかってくるし、バスで後ろで居合わせた人が突然電話で話し始めノイズキャンセラーを突き破ってくるし、
 
全くしみじみできず…
 
内定を口頭ベースでもらい、しばらく、会社で浮上する案件や、上司からの言葉もほぼ上の空になって行く一方で、まだ書面での報告を頂いていないためどうしたものかという地に足がつかない状況を続け…

…そしてとうとう書面でのオファーを貰ったワタクシ。
 
 
…さぁ、、、上司になんて言おう…、。
  
と、不思議な緊張に包まれるワタクシなのであった。

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