【小説】タシカユカシタ #9
「君はもう『惜別の部屋』の中にいるんだ。さっき体験プログラムを起動させたって言っただろ」
「えっ」
「この『惜別の部屋』は、あの大楠を基点として学校を範囲内として創られた小さな世界なんだ。だから君は、この学校から出られないし、この『惜別の部屋』から出るには、体験プログラムを終了させるしかないんだ」
「子供っていうのは、みんないろんな夢を見る。テレビ番組のヒーローになりたがったり、空を飛んだり、ぬいぐるみと話をしたり…でも大きくなるにつれて、そんな夢も見なくなる。見ていた