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論理と感情の狭間で

また、ひとつ。年を重ねれば重ねるほど、僕はどんな変化を遂げてきたのだろうかと。そんなことを振り返る時間が増えたような気がしている。

小学生の頃、こんなことがあったな。

中学生の頃、こんなことが嬉しかったな。あんなことで傷ついたな。

高校生の頃、あんな夢を見たな。恋をしたな。

大学生の頃からは徐々に記憶も鮮明になって、そのときに感じていた気持ちもなんとなく思い出すことができる。

けれども、5年も経てばきっと、その記憶もだんだん曖昧になって、嬉しかったことは遠い記憶になるし、悲しかったことは笑って振り返ることができるようになる。そんなもんだ。

僕は、感情とともに旅をしてきた。

嬉しい、辛い、悲しい、楽しい。そんなたくさんの感情を積み重ねながら、言葉を紡ぎ、記憶を繋いできた。

論理を大切にする世界がどこか馴染めないのは、論理と感情という対立の中で、いつも感情に振れる僕がいるからかもしれない。

たとえば、夜、星を見ながらドライブをしたり。

たとえば、大好きな音楽をかけながら、一人、暖かな照明の下でぼーっとしたり。

そんな世界が、僕を幸せにする。感情を満たす。そんな僕は、少なくとも中学生の頃からずっと、変わっていないんじゃないだろうか(中学生の頃は、座るところが助手席だったけれど)。

去年の年末釧路に帰ったとき、当時よく通った海岸で海を眺めながら、僕は感情に満ち溢れていた。

そこに、理屈や論理なんてなかった。

中学生のとき、部活を続けるか悩んだとき。部活でレギュラーが取れなかったとき。京都に引っ越すことが決まって、当時付き合っていた人と別れたとき。海はいつも僕のそばにいて、僕のことを包んでくれた。だから僕も、大好きな音楽を聴きながら、当時感じていた悔しさや寂しさをぶつけていた。

それで、よかった。

だから10年も帰らなくても、あの海岸は僕のあの日の気持ちを包んでくれたそのままの姿で、僕を迎えてくれた。だから僕も、当時大好きだった音楽を聴きながら、流れ着いた大きな木にもたれかかって、太平洋を見つめていた。

もっと論理的に生きたいと思ったことがある。

もっと筋道立てて物事を考えることができたら良いのにな、と人を羨んだこともある。

それでもなぜか心に響く歌をたよりに、僕のことを包んでくれた景色をたよりに、生きてきた。「なぜか」エモいと感じる音楽やその歌詞が「なぜ」エモいのかなんて考えようともせず、ただ心地よいと感じるその音楽に耳と体を傾けて、気持ちを消化させてきた。

それで、よかったから。

最近ようやく、そのことを「なぜ」なのかと突き詰めて考えるようになった。僕はなぜ、この音楽を、この風景を、この場所を、エモいと、心地よいと、感じるのだろうか。

たとえば釧路のあの海岸は、なぜ僕にとっては10年経っても帰りたい場所なのだろうか。なぜ中学生だった僕は、あの場所で心の奥にしまった気持ちを吐き出したのだろうか。

不安や不満を飛ばすため
窓を開けたHigh way
車は走ってく 理由はあのNightmare

なぜ、僕はこの歌詞にどこか心が揺さぶられる想いを抱くのだろうか。

越えた無数の間違いの先にあるものを歌いたい

それは楽器やメロディーと合わさってのことなのだろうか。

つまらないもくだらないも吹き飛ばして
暇潰したくて退屈を見つけて
バカみたいに騒いで 笑って泣いて怒って落ち込んで
過ごした日々に 拾い集めてた夢へのpieces
手のひらに乗せて

たとえば歌詞だけを見たとき、曲として聴く音楽と比べて同じような感情を僕は抱くだろうか。

そんなことを考えながら、「なんでそんなことを考えているんだろう?」なんて思ったりもする。論理で考えることに少しだけ慣れたからだろうか。それとも感情を説明したいと、心の中で何かが叫んでいるのだろうか。

でも、そんなふうに論理で考えようとしながら、一方で、感情を信じたいと思っている僕もいる

「なんで?」

そう問われたときにはきっと、上手には説明できないけれど、僕にとってはそれで十分で

好きだから。悲しいから。エモいから。

それでよかった。写真だってそう。自分が美しいと思ったから。自分にとっては何か心を揺さぶる景色だったから。その「何か」ですら、無理して言葉で説明しようとしなくても良い。説明しようとしなくても、そのものを見ればその時の気持ちを思い出すことができる。

そう思っている。

言葉で表したときに、論理で何かを語ったときに、抜け落ちてしまうものがある気がして。

だから僕はきっとこれからも、論理を駆使して生きていく人間にはなれそうにない。だから他の人には理解不能なことも多いだろう。一般的な言語に落とし込むことができる感情を、多く持ち合わせていないことが多そうだ。

でも、そんな僕を理解しようとしてくれる人がそばにいてくれれば、それで良い気がしている。

あるいは、僕がなることができない(そうな)論理で語る部分を補ってくれる誰かがいれば。

エモいと思う感情は、エモいと思うままに。

嬉しいと思う感情は、嬉しいと思うままに。

悲しいと思う感情は、悲しいと思うままに。

25 歳の僕へ。

そろそろ行くか じゃあまたな

26歳の僕へむかって。




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