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詩集

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2018年1月の記事一覧

雨の日も

春はそよ風になって
あなたの頰をなでたい
夏は雲になって
あなたを暑さから守りたい
秋は紅葉になって
あなたの目を楽しませたい
冬は暖炉の火になって
あなたの凍えた体を暖める

それ以外は
おりたたみ傘になって
あなたのバッグの中で眠っている
そういうものにわたしはなりたい

今夜は黙って、

話したいことがたくさんある

伝えたいことがたくさんある

けれども

今夜は黙って、

あなたを感じていたい

水仙になった仙女

水仙になった仙女

雪の中で あそんでいる

やさしくて 甘い

白い仙女

いなくなった だれかを

さがしてるみたいに

水面を見つめる

白い仙女

さがしていたのは

じぶんだったと

水仙の花が咲いた

もうすぐ

春がくる

始めのことば

この世界には 始めにことばがあったという

ぼくよりも古く ぼくよりも大きく

ぼくよりも速いことば

ことばには意思があって 新陳代謝をくりかえしている

ぼくの放ったことばは

細胞になって

やがて手となり足となり

君のところへ歩いていく

ぼくのことばは君に触れ

君の美しい髪をなでる

ぼくのことばは君のしなやかな身体を抱きよせ

そっとキスをする

ぼくよりも上手に

君の始めのこと

もっとみる

ありのままを磨く

癖は、直すものじゃない
癖は、活かすものだ
苦手は、克服するものじゃない
苦手は、笑い飛ばすものだ
泥だらけで、汚くても
磨けば光るんだよ
あなたのことが大好き
そう言ってくれる人が
かならず、いるよ

すなおになれなくても

大丈夫と言いながら 
ほんとは大丈夫じゃない
気にしてないよと言いながら 
ほんとは気にしてる
嫉妬してないフリをして 
ほんとはすごく妬いている

子供みたいな 
わがきもち
それでいいよ、と
抱きしめる

月族の詩

だれも信じてくれないけど
ぼくは月に行ったことがあるんだ

そこには月族の人たちがたくさんいてさ
地球人のぼくはすごく歓迎されたよ

あなたは笑うかな
そんなのあり得ないって

月の世界では雪が降ると
キレイな桜の花が咲くんだ
いつかあなたにも見せてあげたいな

今夜の月は、とてもキレイだから
キレイだから

ぼくは、とても狂っているんだ。

そこにあるもの

たくさんの言葉を交わして
たくさんの時間を共有して
たくさんの確認を必要とするなら

きっと、それは愛ならざるもの

愛は時間の外にある
たった一瞬で
たった一言で

ほんの少しの時間と
ほんの少しの距離があれば

探さなくてもいい
見つけなくてもいい

二人の愛は、すでにそこにある

世界中にいるわたしへ

もしも、わたしが世界だったとしたら
この痛みも、苦しみも、絶望も
きっと別の誰かの苦痛なんだね

痛かったね
苦しかったね
悲しいね

大丈夫だよ
一人じゃないから

あなたが痛いと、わたしも痛い
あなたが苦しいと、わたしも苦しい

わたしたちは繋がっている
電波みたいに
目には見えない高速の光で

わたしが笑う
世界が笑う
きっと、あなたも笑っている