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詩集

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2018年2月の記事一覧

君がいない世界

きみがいない世界なんて

物語が存在しない小説みたいに無意味で

きみがいない世界なんて

弦が張ってないギターみたいに無音で

きみがいない世界なんて

画家がいないアトリエみたいに

何も始まらないんだよ

きみがいない世界なんて

世界の終わりとリンゴの木

失ったり
離れていったり
別れたりすることに
飽きてしまったから
ぼくは木になりたい

大地に根をはり
誰とも戯れずに
天高く
天高く
青龍の如く

あした世界が終わるとしても
そうですかと笑いながら
物怖じせず
驚きもせず
黙々と
真っ赤なリンゴの実をつける

この世界のどこかで
いつもひとりで
もがき苦しんでいる
そんな誰かのための
やさしい目印になれるように

海底のさなぎ

ぼくはあなたに出逢うまでは孤独だった

あなたに出逢ってから、さらに孤独になった

だが、その孤独はぼくをさなぎから蝶へ羽化させる酵素となった

〜THE ROSE〜 Bette Midler



それは川



そして、あなた自身

誰もが胸に秘めた

自分だけの薔薇を

咲かせるために生きている