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詩集

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2018年3月の記事一覧

M

美とは

醜いものを否定することからは生まれない

美とは

悪を裁く心からは花開かない

美とは

悪しきものと醜いものを

あたたかく包みこむ母性

闇も穢れもあやまちも

すべては聖なる母のもとへ還る

お天道様が見ている

向日葵はいつも
お天道様を見ている
自分に嘘をつかず
まっすぐに
向日葵は生きた証なんて残さない
お天道様が見てくれている
ただ、それだけで
どこまでも美しく咲いている

ジャンゴへ捧ぐ

ジャンゴへ捧ぐ

理論も知らず
楽譜も読めず
コードの名前すら知らなかったあなたは
誰よりも深く音楽を理解していた
たった二本の指しかないのに
誰よりもたくみにギターを弾いた
唯一無二のインプロヴァイザー

夜空さえも聴き惚れる
真夜中のジプシースウィング
太陽さえも恋をする
雨の朝に弾くラ・メール

あなたにはきっと過去も未来もなく
いまだけを貫いて生きていた

豪傑で奔放
無節操で無鉄砲
誰にも従わず
決して自

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ブルーノート・ペンタトニック

青に惹かれしたましいよ

その精神的な目から流れ出る

悲しみという名の絵の具を

痛みと苦しみと思い出したくない過去を

慈愛のパレットの上で一緒に混ぜて

美しい青を作ろう

エンターテイナー

うす暗い楽屋でひとり瞑想にふける
観客のざわつく声が聞こえる
おれは考えない
明日のことなど
毎日が命日さ
おれの体調がすぐれないとか
おれの頬にある傷が女に引っかかれたものだとか
家賃を三ヶ月滞納しているとか
そんなものお客には関係ない

おれはエンターテイナー
ひとりよがりな哲学者じゃねえ
客が望むものを見せて金を稼ぐ

ステージに続く細い廊下を抜けたら
おれのショーが始まる
おれは考えない

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