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詩集

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2018年12月の記事一覧

見えないチカラ

どうしてうなだれているんだい?
君の背中には翼があるのに
どうして泣いているんだい?
君の瞳には輝かしい未来が映っているのに
どうして怒っているんだい?
君はとても優しい人なのに
どうして黙っているんだい?
君の言葉を待ってる人がいるのに。

クリスマス・エデン

大気汚染された街に
クリスマスソングが響き渡る
猫も
犬も
小さな女の子も
目には見えない茨の冠を頭にかぶり
幸せになれなかったあの人のために
何も知らないふりをして
キャンドルに火を灯す
ねえ
二人はいつ出会ったの?
神様のリンゴを盗んだ時さ
遠くからベルの音が聴こえた

空白のままで

なんの才能もない自分は
どう生きればいいのだろう
なにも持ってない自分は
どう生きればいいのだろう
このまま並の暮らしさえ手に入らずに
誰にも語られることなく野垂れ死ぬ
それもきっと悪くない
道端に野良犬の死骸が転がっていても
誰も気に留めないだろう
それでいいし、それは間違ってない
きっと誰も悪くない

ふれてみたいもの

焼きたての食パン
野良猫の背中
洗いたてのシャツ
真っ赤なトマト
革のソファー
松ぼっくり
誰かが作った雪だるま
三日月
君の細くて長い腕