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詩集

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2019年4月の記事一覧

フレグランスの夜に

何も言わないで

隣にいてくれるだけでいい

いまはただ

君の香水の匂いに包まれていたい

詩人礼讃

うまい言葉や
個性的な文体を持っていたとしても
その人が詩人とは言い切れない

花鳥風月にときめき
友との別れを悲しみ
愛することを喜ぶ

そんなナチュラルな感性が詩を作る
ゆっくり深呼吸するんだよ

ムーンライト・ウォーク

月まで散歩しないか?
水筒に温かい紅茶と
サンドイッチを持って

星のメロディーが鳴っている
今夜は
朝まで帰らない

だって、あまりにも
君が嬉しそうに笑っているから

月まで散歩しないか?
星のシャワーを浴びて
三日月のベッドで眠ろう

手紙

ネットでは伝わらない思いが
手で書くという原始的な動作で
いとも簡単に届く

どんなに技術が発展しても
あたたかい温もりには敵わない

人は熱を求めている
洞穴に住んでた頃からずっと
いまも変わらない

手と手を取り合って
共に歩いていこう

神さまの試練

神さまは
乗り越えられる試練しか与えないと言うけれど
神さまは
人間が生きようが死のうが
そんなのどっちでもいいんだよ
だって何の問題もないんだから

神さまは
試練なんて与えないよ
だって神さまは
強い人も弱い人も
貧しい人も大富豪も
真面目な人も罪を犯した人も
健やかな人も病める人も
みんなのことを愛しているからね

亡霊

あれから上手く眠ることができない
きみはきっと新しい人生の航路へ
舵をきっていることだろう

なのに、きみの亡霊が毎晩やってきて
いつもと同じ笑顔で話しかけてくる
なあ、お願いだから消えてくれ
おかしくなってしまいそうだ

あやふやな太陽

傷つくことも
裏切られることも
挫折することも
生きていることの証

人は皆あやふやな太陽
ゆらぎながら
大空を舞う