勝手にしやがれ


ゴダールの映画の凄いところは観衆を日常の世界からいきなり異次元の世界へ連れて行ってしまうような、魔術的な魅力である

まず、この映画で注目すべきところは主人公ミシェルの服装。これは1950年代に流行した実存主義者のファッションを完璧に再現している。実存主義者とは第二次世界大戦後に不安定だったパリで定職に就かず、人生に目的も持たず、その日暮らしをしながらカフェやクラブにたむろしている若者たちのこと。何だか村上春樹の小説に出てくる主人公みたいだ

そういう時代にもしも自分が生まれていたなら、きっと僕も実存主義者になっていたかもしれない(今でも似たようなものかもしれないが)

ミシェルは悪い男なのだけど、同時にとてもスタイリッシュで人間味があり天使と悪魔が同居しているような二面性を持ったキャラクターだ。ジャン・ポール・ベルモンドの魅力が凝縮した映画だと思います。無責任で最低、でも何故かカッコイイ。きっとフランスではこういう男がモテるのだろう。

海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、勝手にしやがれ!

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