谷2jpgprofilePortrait

言葉を追い出す


ぼくは詩は好きだけど、詩人には疎い
有名な詩人の名前はあまり知らない

そんな詩ろうと(素人)なぼくに一撃をくらわした詩人がいる。それが谷川俊太郎さんだ

それは「なんでもお○んこ」という詩だった。衝撃的だった。こんな詩を書ける人が日本にいたのか!と 笑

世の中には詩があふれている。しかし、その多くはあたりさわりのない、人々の共感と賛辞を得ることを目的としたファッションポエムだ

谷川俊太郎さんのように自分を全開にさらけ出して表現することが出来る人はとても少ないし、とても難しい。でも、それが本当のかっこよさだとぼくは思う

何かのインタビューで「どうしたら良い詩を書けるのですか?」という質問に対して、谷川さんはこう答えていた

「頭の中から言葉を追い出す」

詩人の商売道具であるはずの言葉をあえて放り出して空っぽになる。まさに無我の境地。無我というと少々抹香くさく聞こえるかもしれないが、スマホで例えるなら新しいアプリをダウンロードするためには空容量がなくてはならない。だから空っぽになる

日本には余白の美学というものがある。ぼくも書道経験者だから少しはわかるが、何も書いてない部分にこそ、作者が伝えたいメッセージが隠れていたりする

そういえば村上春樹さんの本に「優れたパーカッショニストは一番大事な音は叩かない」と書いてあったのを思い出す。いちばん大事なものは目には見えないところにある。一流の表現者はみんなそれを悟っているのかもしれない

谷川俊太郎さんは普段は無口な人だという。ぼくも無口とまではいかないが寡黙だとよく言われる。喋る必要がない場面ではあまり喋らないし沈黙が苦にならない。みんなとワイワイしてるよりも一人で黙々と作業をしているほうが好きなのだ

谷川俊太郎さんの一つ一つのことばは木や花や土のようにただそこにあるだけでぼくたちの眠っていた五感を呼び覚ましてくれる。自然は何も語らずとも美しい。

サポートして頂けると今後の創作活動の意欲になります。