ヌレセパ

https://www.amazon.co.jp/すべて真夜中の恋人たち-講談社文庫-川上-未映子/dp/4062779404/ref=asap_bc?ie=UTF8

こちらの記事で気になっていた本を読んでみました

川上未映子さんの作品は初めてでしたが、全体的に詩的で平仮名と漢字のバランスが良くストレスなく読み進めることができました。本の帯にも書いてありますが、天才が紡ぐ繊細な物語という表現は決して大げさではないと思います

というか、村上春樹が大嫌いな大田光が川上さんの本を絶賛していることが意外でしたが 笑。校閲という仕事をしている内気な女性が一人の男に恋をする物語。登場人物は少ないけれど、最初から最後まで人間関係と向き合っています

冬子も聖も三束さんも不器用だけどピュアな心の持ち主で、決して良い人と呼ばれる部類の人達ではないかもしれないけど、どこか憎めなくて人間味に溢れている

結果的に冬子の恋は叶わなかったけれど、最後に聖とぶつかりあって友情を深めるシーンは感動的でした。これはあくまで男目線なんだけど、たぶん三束さんは冬子のことが好きだったんだと思う。うまく言葉で説明するのは難しいが、冬子のことは好きだったけど自分のことが嫌いだった。だから上手くいかなかったのかもしれない

『ヌレセパ』

フランス語で「放っておかないで」という意味があるらしい。この言葉が気に入ってしまった。これからは心細くなったら「ヌレセパ」と呟くことにしよう 笑

真夜中は誰も照らすことはない。

でも、真夜中は全てを許してくれる。子守唄を歌う母のように。澄みわたる夜空に今日もショパンの旋律が響いている。


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