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不安との付き合い方

先日、がんの摘出手術を受けてきた。

生検を受けることが決まってからその日まで、不安の連続だった。とは言え、自分が思っていた以上に面白おかしく乗り切ったと思っている。

不安の原因は、注射等に対する恐怖心とそれによって起きる迷走神経反射が辛いと言うところが大きい。基本的に医療行為の全てが苦手なので、生検が決まってから手術まで、約1ヶ月の日々の精神的なアップダウンはローラーコースター並みに目まぐるしかった。

けれど、その目まぐるしさは私が思っていたのとは少し違った。


不安と日常の永遠ループ

眠りが浅く、睡眠時間も短くなってしまったが、もっと激しく落ち込んだり、泣いたり、身動きが取れない位に苦しむかと思ったら、それはなかった。これが10年前だったらどうなっていたかわからないが、今の私は少し違った。

がんと診断された直後の1週間ほどは、ふと目が覚めると「がんと言われたのは夢?現実?」と、自問自答していた。夢だと思いたかったのだろう。

それも時間と共に落ち着き、生検や手術について調べる様になった。体験談は本当にばらつきがあるものの、目に入ったブログなどの多くは苦痛を伴った人のものだった。何ともなかった人はわざわざブログなど書かないのだろうと自分に言い聞かせ、そうした体験談を読むのはほどほどにした。

生検を経験した友人に話を聞くと「私も注射が怖いけれど、大丈夫だったよ」とのこと。これが大きな救いとなった。

それから、ずっと病気や検査や治療のことを考えていても、急に治る訳でもなければ、検査や手術を避けられる訳ではないと自分に言い聞かせつつ、不安になるのは無理もない!と不安を受け止めた。

不安になったり落ち込んではダメ!と言う考え方ではなく、仕方ないよね、無理もないよね、と自分の心の寄り添うことにした。

人間だし、全知全能ではないし、不安や恐れがあって当然!と。

その上でいつも通りの日常を楽しむことを心掛けた。大好きな芸人さんやアーティストの動画を観たり、本を読んだり、Netflixなどで追いかけていたドラマを観たりと、いつもと同じことをした。そして、不安になってもならなくても同じ時間が過ぎるのだから、今という時間に集中しようと自分に言い聞かせた。

それでも不安に襲われることは度々あって、そんな時には家族や友達の前で声に出して「いやだなぁ〜、こわいなぁ〜」と言うことも多々あった。生検や手術やドクターとのアポの前日は、「明日が来ないければいいのに!!」と懇願したりもした。

不安を口に出す時は、深刻になり過ぎない様に、できればみんなに笑ってもらえる様に、暗くならず面白おかしく言おうと心掛けいつも以上にふざけていた。面白くできたかはわからないが、いつもの3割増で頭の悪そうな喋り方をしていたと思う。

同時に、不安がっている自分を面白がる自分もいた。
「あ〜、なんでこんなに怖いのかなぁ…怖がってるのにふざけている自分、ウケる」と言う具合に。

後は、数少ない小さな成功体験を思い出し、あれが大丈夫だったのだからなんとかなる!と繰り返し自分に言い聞かせた。この数年で、迷走神経反射を起こさずに乗り越えられた採血や検査や治療も少しはあったので、それらを思い返し自己暗示をかけた。

そして、生検の前日にはこの曲を何度か聴いた。

「私は最強」

これぞ自己暗示の極み。
たまたまYouTubeにおすすめされたのだけれど、タイミングが絶妙すぎて笑ってしまった。


人間は思い込みの生き物だ、なんて言うが、その思い込みも使い方次第。

あの手この手で「何があっても大丈夫!大丈夫にしかならない!」と自分に思い込ませ、この不安も時が来れば消えると思うことでエネルギーに変えた。


まとめ

不安になるのは良くないとか、不安を解消しなければと思うのは一旦やめて、「不安にもなるよね、怖いよね、人間だもの」と自分に寄り添いつつ、適度に「怖いよー!!」と言葉にして発散しつつ、日常も楽しみつつ、不安な自分を「ウケる」と面白がりつつ、「私は最強」に励まされつつ、成功体験の記憶を手繰り寄せつつ、「どうせ大丈夫になるし!!」と乗り切った。

不安な自分を否定せず、その不安を感じて受け止めることがカギだと思う。

不安になるのは良くないとかネガティブな考えはダメだ!というジャッジは捨てて、その感情を味わった上で気持ちを切り替えたり逸らしたり、感情のアップダウンを繰り返す自分を面白がってやろう!という心づもりが、今の私にできる付き合い方だと思っている。

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