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思ってたのと違う?!カンボジア経済の躍進①

こんにちは!JCI LABのインターン生、まるこです。

JCI LABは、カンボジアと日本の双方の国のビジネスコミュニティに価値を提供し、ビジネスの成長・発展に貢献することをミッションにしています。

前回記事では、ASEANの中心に位置する国、カンボジアの基礎情報や、一般的なイメージとはガラッと異なる「カンボジアの今」について紹介がありました。

私も世界史の授業でポルポト政権について学んだとき、その残虐さに衝撃を受けたのを覚えています。カンボジアと聞くと、どうしても暗い歴史や「貧困」という単語が頭をよぎってしまっていました。

だからこそ、前回の記事を読んで、高層ビルが立ち並ぶカンボジア都市部の街並みや、その経済成長率の高さにびっくりしました!
皆さんの中でも同じように驚いた方も多いのではないでしょうか。

ですが、その驚きは同時に疑問も生みました。「暗い歴史の影や貧困のイメージを強く持たれている国が、どのようにして安定した経済成長を遂げてきたのだろう?」

そこでカンボジア経済成長についてより深く調べてみたところ、興味深い内容があったので皆さんにお伝えしようと思います。



概況:安定した経済成長

外務省のHPを読んでいると、カンボジアの経済成長について以下のように述べられていました。

カンボジア経済は2004年から2007年までの4年間、10%を超える高い経済成長を記録した。しかし、サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、翌年の2010年には6.1%にまで回復した。2011年以降2019年までは、堅調な縫製品等の輸出品、建設業、サービス業及び海外直接投資の順調な増加により、年率約7%の安定した経済成長を続けていた。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けてマイナス成長となったが、2021年及び2022年についてはプラス成長となった。

外務省より引用

経済成長率10%って、日本の高度経済成長率と同じくらいですよね!相当高いです。

コロナ前までの年率約7%の安定した経済成長というのも、例えば、最近人口が世界一になるなど今大注目のインドのGDPが7.24%(2022年、IMF)であることを考慮すると、すごい数字であるということがお分かりいただけるかと思います。




そしてさらに、、、



IMFが発表したカンボジアの2024年のGDP成長率予測は、東南アジアの中で1位!!

IMFによる東南アジア各国の2024年のGDP成長率予測-Seasia Statsより引用

やっぱり、カンボジアからは目が離せません!!

これまでを振り返っても、シンガポールやタイなど外国人投資家や企業から注目されている他の東南アジアの国々と比べても遜色ない経済成長率を記録していますね。

ASEAN各国の実質GDP成長率
濃い青がカンボジアで、他のASEAN各国と比較しても比較的高い成長率を維持していることが分かります。



なぜ高い経済成長率を維持できるのか?

ここからが本題です。

冒頭でお話ししたような暗い過去や貧困のイメージがありながらも、現在この国はどのようにして安定した経済成長を実現し続けているのでしょうか。

まずは産業構造から、その理由に迫っていきましょう。

カンボジアの主要産業は、以下の三つです。

農業(GDPの24.3%)
工業(GDPの39.2%)
サービス業(GDPの36.4%)

特に、工業(製造業)では縫製品、サービス業では観光業が経済を引っ張っています。

観光業:コロナ禍からの回復

まずは一番イメージがつきやすそうな観光業から見ていきます。

アンコールワットをはじめとする世界遺産を中心とした観光業は、カンボジア経済にとって長年にわたり重要な収入源となっています。
新型コロナの打撃を受け2021年には外国人観光客が1059人となり(観光庁)、失業者が5万人近く出るほど苦しい状況にあったそうです。。。

しかし、中国人観光客の回復や、陸路でやってくるタイやベトナムからの観光客増加により、2023年1〜10月で440万人を記録し(プノンペン・ポスト)、順調に回復しています。

アンコールワット遺跡群の1つ、『ベンメリア遺跡』。2016年に私が実際に訪れた時の写真です。まるで天空の城ラピュタのような世界観に没入できます。

政府も観光業に力を入れており、2026年の外国人観光客数700万人を目指して「BUILD Plus 3Ds」という新しい観光戦略と行動計画を実施しています。

「文化遺産」、「海岸観光」、「エコツーリズム」、「カンボジアの特色」が4つの柱に据えられており、特に沿岸地域の観光開発が重要視されているそうです。


シェムリアップ・アンコール国際空港

また、2023年10月には、シェムリアップ・アンコール国際空港という新しい空港が試験的運用を開始しました。カンボジア最大級の国際空港で、さらなる観光客の呼び込みを狙っています。

これまで使用されていた旧シェムリアップ国際空港(REP)はアンコールワット遺跡群から5キロほどの距離に位置し、航空機離発着による振動や汚染が世界遺産や近隣住民に影響を与えていると指摘されていました。それを防ぐため、もっと遠くの場所に移転させたという意図もあるようです。

持続可能性にも配慮がある観光開発なのですね!

(参考:JETRO

農業:基盤産業

農業はカンボジア経済の基盤であり、人口の多くが農業に従事しています。

皆さんは、カンボジアの農作物として何が思い浮かびますか?

私は正直何も思いつかなかったのですが、調べてみると、お米やバナナの生産が盛んだそうです。

なんと、カンボジアは世界で3番目に米を消費する国。意外ですよね!(ちなみに日本は50番目(笑))

生産される米の質の良さも評価されていて、特に中国への輸出が伸びているそうです。

農産品の輸出は、2016年の5億3,000万ドルから2019年の8億9,000万ドルへと順調に拡大しました。観光業が顕著に打撃を受けたコロナ禍においても雇用を生み出し、人々を貧困から脱却させる可能性があるという観点から、改めて重要な産業と位置付けられています。

現状、カンボジアにおける農業は機械化が十分に進んでおらず、生産性に課題があります。生産性向上や輸出拡大に日本のスタートアップも参入しているそうです。

政府が重点を置く農業分野は、ビジネスチャンスがあると言えそうです!安全性や生産性の低さという課題を解決しながら、日本とカンボジア両国の発展につながっていくといいですね。

(参考:JETRO

製造業:外資奨励策による発展

そして、製造業もカンボジアの主要産業です。

JETROのデータ(2022年)より作成


特に衣類や履物の製造は、カンボジアの輸出において大きな割合を占めています。縫製業は低コストの労働力を背景に国の主要な輸出産業となっており、経済成長の重要な推進力です。

またカンボジア政府は、製造業の発展を支援するために、税制優遇措置などを含む様々な政策を実施しており、縫製業を中心に多くの外資系企業がカンボジアに工場を設立しています。安価な労働力、豊富な若い人口を活かして積極的な外資呼び込みを行ってきました。例えば、電気機器・部品や車両・部品は日系企業が製造の多くを担っているそうです(JETRO)。

しかし、「安価な労働力」という言葉、生産性の問題や物価水準の違いはもちろんあるでしょうが、私はどうしても労働問題との関連を想起してしまいます。
現在は持続可能な発展に向けて労働環境改善に向けた取り組みも行われており、労働賃金は年々上昇しているようです。これにより市場としての価値向上が期待される一方で、賃上げに対応しきれずカンボジアから撤退する企業も目立つそうです。

経済発展と人々の生活の保護のバランスをとるのは簡単ではない、ということは感じましたが、前回記事で紹介されたように、カンボジアは安い労働力以外の魅力も沢山あります

労働賃金削減のみを目標とするのではでなく、カンボジアの特徴を理解し、自社独自の強みを活かせば、日本とカンボジア、双方にとってメリットのあるビジネスが実現するのではないでしょうか!


まとめ

多くの人がカンボジアに対して持つ暗い歴史や貧困のイメージとは裏腹に、カンボジアは安定した経済成長を遂げています。2000年代以降の高い経済成長率、そしてコロナ禍を乗り越えた後の回復力は、カンボジアのポテンシャルの高さを示しています。

そして、これらを支えているのは、製造業農業観光業ということが分かりました。
発展途上国ゆえの伸び代の大きさや、積極的な外資企業の誘致を含む政府の産業発展政策は、多くのビジネスチャンスを生み出していると言えそうです。

一緒に、日本とカンボジアのwin-winな発展に繋げていきましょう。そのために、まだ一大学生で知識も乏しいですが、カンボジアについて学び、その情報や魅力を私なりにどんどん発信していきたいと思っています!皆さんからの意見や情報共有もお待ちしております^^


次回は、経済成長のカギ、外国からの投資について深掘りしていきますので、お楽しみに!!



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