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自民党の政治資金パーティー裏金づくり――今こそ本質に迫る報道を!

自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金づくりは、20年以上前から自民党の組織的な犯罪として行われていたことが明らかになりつつあります。そして今、所得税の確定申告を迎え、国民の批判は日に日に大きくなっているようです。「河井疑惑をただす会」が2月17日に広島市内で開いた学習交流会には、マスコミも注目している上脇博之神戸学院大教授の講演ということもあって、150人(オンラインを含む)を超える参加がありました。
 
 学習会では、リクルート事件や佐川急便・金丸事件など金権腐敗政治への国民の怒りを逆手にとり、「政治改革」の名のもと選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制と政党助成金の導入などを図る「政治改革4法案」が成立、これが今問題となっているパーティー裏金づくりの大本になっていることが明らかにされました。

政治資金規正法では政治家個人への寄付を禁止する一方で、政党が政治家(自民党では幹事長ら幹部)に寄付する場合は「合法」になっている、つまり「抜け穴」がつくられ「合法的な裏金」づくりに道が開かれ、それが選挙買収の資金に使われてきたという構図が浮かび上がってきたのです。
 また、政治に対する民意を歪める大本になったのが小選挙区制です。鳩山一郎内閣の「ハトマンダー」、田中角栄内閣の「カクマンダー」と、「4割の得票で7割の議席」が得られる小選挙区制の導入は民主主義を否定するものとして、その度に国民的な大運動で阻止してきました。これに新聞労連やマスコミ共闘が大きな役割を果たしてきたことも歴史的な事実です。

 その経験から自民党は、政治に金がかかるのは中選挙区に原因があるとマスコミを使って、「政治改革=小選挙区制」のキャンペーンを展開しました。当時、広島選出の宮沢喜一首相と懇意だった山本朗中国新聞社長は都道府県選挙管理委員会連合会長として第8次選挙制度審議会の委員に選出され、この審議会が小選挙区比例代表並立制を答申しました。山本社長は当時の新聞協会副会長でもありました。
 
河井大規模買収事件での中国新聞の報道は、新聞協会賞は逃したものの、その後に新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞するなど目を見張ります。被買収議員らの裁判の様子も克明に伝え続けてくれています。この「政治とカネ」をめぐる一連の報道によって、選挙買収の立件はこれまで選挙中やその直前でしたが、3カ月も前の統一地方選までさかのぼらせました。さらには、モチ代・氷代、当選祝い・陣中見舞いといった名目ではなく、当選させる意図があったかどうかの判断を判決に反映させました。

「河井疑惑をただす会」では河井夫妻や被買収者100人の刑事告発、街頭宣伝や署名活動などに取り組み、それが報道されることで一層頑張れるという相乗作用があったと思っています。今の裏金問題でも自民党の派閥解消という目くらましに惑わされることなく、その狙いをとことん暴き、政治倫理審査会の開催で幕引きを許さず、徹底解明とあわせて、根本の小選挙区制や政党助成金など選挙制度の見直しへと踏み込む報道を大いに期待しています。                                                                                                      (山根岩男)

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