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新規事業という孤独との闘い

「新規事業を任されることになった!」

こんなセリフを同僚や知人、家族から言われたことってありますよね。その時に、「なんか楽しそうだな」「キラキラしてるな」って漠然と感じた人も多いんじゃないでしょうか?何を隠そう私もその1人です。

時は流れ・・・

私はここ数年、自社で新規事業を立ち上げたり、営業や代理店開拓の支援としてお客様の新規事業立ち上げに携わっています。

今回は、新規事業を漠然と楽しそうだと思っていた過去の自分に、新規事業は孤独であり、不確実性との闘いであるということを伝えるために書こうと思います。

テーマが分散しないよう、既存事業でしっかりと収益を上げている企業の新規事業について扱います。また、ターゲット・プロダクト・事業フェーズによって内容も大きく異るため、顧客に対して営業活動を始めるフェーズからのお話になります。

1.新規事業は1人から始まる

まず、新規事業が既存事業に成長していくまでの営業プロセスを、大まかに分けると下図のように考えています。

うちの会社はテストマーケから販路拡大(代理店展開)まで事業フェーズに合わせてご支援していますが、その中でも1番多くご相談いただくのはテストマーケティングです。プロダクトによって解決できる不や課題が何なのか?という仮説を立て、ユーザーヒアリングを実施してプロダクトマーケットフィット(PMF)するのか仮説検証をしています。

仮説がうまくハマることもあれば、全然ハマらずにコンセプトや訴求方法、ターゲットを変えなければいけないこともあります。一度決めて走り始めたものを変更するのは骨が折れますが、実際にマーケティング費用や営業リソースをかけてサービス展開を始める前に検証しておかないと、回収できないほどの無駄な投資になってしまうこともあります。

実際に営業支援を依頼してくださったお客様にも、事業フェーズによってはテストマーケティングのご支援から入らせてもらっています。少し会社の宣伝っぽくなりましたが、何が言いたいかというと、どんな大手企業でもよっぽどの肝いり事業じゃない限り新規事業は1人から始まるということです。

新規事業に最初から多くの経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入することはリスクが高いです。経営陣からしても、まずは最小の予算から始め、状況に応じてリソースを増やしていくのが常套手段。スタートアップよりも大手企業の新規事業チームの方が、人数が少ないこともあるあるです。

2.やることが多すぎる新規事業責任者

ほぼ1人で新規事業を始めるわけですが、カバーしなければいけない領域は経営者そのもの。新規事業責任者がやるべきこと簡単にまとめてみました。

細かすぎて何書いてあるか分からないくらい、やるべきことがたくさんあるということは伝わったんじゃないでしょうか?笑。しかも開発が必要なサービスであれば、開発チームのマネジメントも必要です。

要は、経営・財務・マーケティング・営業・管理という膨大な業務領域と、部長と課長の役割を両方引き受けなきゃいけないってことです。しかも実行チームすら最初は与えられないこともザラなので、最優先すべきユーザーとの時間が取れなくなってしまいます。

3.機能別組織のマネジメントは困難

ここには色んな意味を含んでいますが、代表的な4つを書かせてもらいます。

1. 分断から包括へのマインドセット
2.人材リソースを既存事業との兼務で補う
3.既存事業を横串で活動する営業部に期待をする
4.代理店や販売会社などに期待をする

まずは分断から包括へのマインドセットです。既存事業で収益をしっかり上げている企業では、利益が最大化するよう効率化された機能別組織になっていることが多いです。各人が特定の分野で最大限のパフォーマンスを発揮することによって、各組織を経由して最高のサービス提供が出来る仕組みです。

先にも書きましたが、新規事業はPMFや最適な営業プロセスを探し続ける必要があります。故に、不確実性が高く日々改善が必要なので分断した機能別組織は作れません。極端に言えば、70点でも包括的に進められる力が必要です。どちらが優秀な人材かという話ではなく、そもそも働き方が全く異なるので、スムーズに切り替えて働ける人の方が珍しいです。

ふたつめは既存事業との兼務でリソースを補うこと。これまで説明してきた通り、新規事業はほとんどの人にとって経験がないにも関わらず、カバーしなきゃいけない業務領域が広いです。ながらでパフォーマンスが発揮できるほど役割が明確じゃありません。兼務がワークするための最低条件は明確な業務内容だと考えています。

残ったふたつ、営業部や代理店など既存事業で成果を出している人に売ってもらうですが、これも期待しない方がいいです。誰しもが売上目標を追っている中で、新規事業という売れるかどうか分からないものは売らないからです。可能性があるとすれば、新規事業の獲得件数を評価項目に取り入れるなど会社全体で取り組む必要があります。

4.だからこそ仲間が必要である

身も蓋もない話を書いてきましたが、過去の自分に本当に伝えたいことは、「孤独な闘いだからこそ、仲間をつくりなさい」ということです。当たり前なことですが、言うは易く行うは難しですね。

「この事業は勝ち馬かも」と思える状態まで成長しないと大半の人は動きません。なぜなら、新規事業の提供価値やメンバーの人柄に共感して入社してないから。だからこそ人を巻き込むためには、新規事業が解決する課題やその使命、世界観で勝負するしかありません。社内か社外かの違いだけで、スタートアップの採用と同じですね。

そして仲間を探す手段として、社外に目を向けることも重要だと思います。新規事業責任者の経験をしたことがある人は少ないですし、新規事業はターゲット、プロダクト、フェーズによって、戦略・戦術が大きく異なるので網羅的に経験をすることができません。すべて社内で完結するよりも、プロダクトに合わせて必要なリソースや知見を、外部と連携を取りながら進めていくことが必要だと思っています。

5.まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は新規事業責任者の方が抱えている課題のごく一部を紹介しました。かなり主観で書きましたが、少しでも新規事業責任者の苦悩を感じてもらい、協力的な人が増えればいいなと思っています。今の暮らしに欠かせない全てのサービスは新規事業から始まってますからね(ドヤ)

私も現在、企業の新規事業の立ち上げをご支援しています。新規事業責任者の方にとって「営業代行」ではなく「助っ人-営業部」になりたいと考えています。不確実性が高く誰も正解を知らない新規事業において、PDCAを一緒に回しながら答えを探す相棒になることで、新規事業責任者の方を孤独から解放し、事業に集中できる環境を作れたらと思っています。

今後は、より具体的な新規事業の営業面におけるTipsも書いていきます。温かい目で見守ってくれると嬉しいです!

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