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舞台「巨匠」の感想文観劇

劇団民藝の舞台「巨匠」を観ました。
その中で印象に残ったセリフがあります。
「真似も本当にすれば本物になる。」
この舞台は今回で5度目の再演です。前回に観た大滝秀治さんが演じる巨匠とはキャストは違います。おそらくは前回までの公演を真似している部分はあると思います。それでもやはり本物にしか見えない。そもそも本物を知らないので真似か本物かを考えること自体がナンセンスなんです。
その中でも医師役を演じた天津民生さんは演じている時は悲惨な状況をくぐり抜けてきた医者そのものです。公演後の交流会の司会務める姿はとてもフツーです。先程までの姿とは別人だと思えるぐらいの変貌ぶりでした。これは前回の大滝秀治さんの「巨匠」を観たときも腕にギブスをして、しっかりと役作りをした避難民役の役者さんの公演中と交流会での落差に驚かされた時にも感じたことです。
この舞台では壮年期に差し掛かった俳優が駆け出しの俳優志望の何者でもない時に観た「巨匠」と呼ばれる旅回りの俳優のマクベスの第二幕第一場のモノローグが頭をよぎり自分の演技に自信を持てずに演出者と衝突することから物語が始まります。版権の切れた書物はネットで確認できるので英語版の青空文庫のようなプロジェクト・グーテンベルグで台本を確認しました。壮年期の俳優が演じたマクベスは私のイメージするマクベスです。しかし、西川明さんが演じるマクベスを゙見るとそちらの方こそが正しいマクベスののように思えます。しかし、そうなると私のイメージするその後のマクベスが大きく修整されます。
前回の「巨匠」では巨匠は舞台中央からはけました。そして、今回は舞台の下手方向へとはけていきました。その分、壮年期の俳優に焦点が当たります。私が観たことがある「巨匠」とは違う点も多いです。
今回の舞台の演出の丹野郁弓さんは交流会で「巨匠の演出は初めててす。」言っていました。前回も今回も前回も本物に思えます。「真似をしたから本物か?」、「オリジナルを追求したから本物か?」 。
最終的には多くの謎を残しながら今回の「巨匠
」も本当に楽しめました。取りあえずはお芝居を楽しめる本物にはなれました。
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