Eazy43

身近な出来事を中心にパリッとエスプリの利いたホッコリとする文章を目指して投稿しています。

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箱根登山鉄道運転見合せ

箱根登山鉄道が大雪のために運転見合せになった時に撮った写真です。 箱根の山の中で足止めされて大変でしたけど、雪景色がキレイだったことはよく覚えています。 #写真 #箱根 #登山鉄道 #雪景色

    • 大切な場所〜リプライズ〜

      満天の星空の下で缶チューハイで乾杯した。ヒロミはスマホを観ながら笑っていた。「ツイッターのコメント欄が炎上しているよ。読んでみなよ。」と彼女は城山に方にスマホの画面を向けた。著名人の離婚報告には「卒業します」と書かれていた。そのコメント欄には「敵前逃亡だろう!」、「卒業ってナニ?中退だろ!」等々のコメントを読みながら城山も思わず笑ってしまった。 「やり方が間違っているよ。」と彼は笑いながら雑居ビルの屋上の端へと酔っ払ったフラフラの足で近づいた。転落防止用の手すりに掴まりながら

      • 大聖堂

        定規を当てて、しっかりとした線で描いた大聖堂。 筆ペンでなぞったら味が醸し出された。 直線だけが線ではない。正しいだけが間違いではない。曲がって、揺らいで、壊れ方が味になる #写真 #エッセイ #休日のすごし方

        • 「大聖堂」の読書感想文

          レイモンド・カーバー著、村上春樹訳「大聖堂」を゙読みました。 登場人物は大抵は失業、離婚、アル中、等々の問題を抱えています。この短編集の特徴をよく表していると思う部分が「轡(くつわ)」にありました。 She sighs and leans back. She lets me keep the hands. "I'd say ’Dreams, you know, are what you wake up from' That's what I'd say. " She smo

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        箱根登山鉄道運転見合せ

          「雲の裂け目」の読書感想文

          原民喜著「雲の裂け目」を青空文庫で読みました。 作者は亡くした妻についてこう綴ります。 「僕たちは死のことを話すことによって、ほんとうに心が触れあうようにおもえたものだが……。」 とても不思議で、現実の会話が幻想的で浮遊感が漂います。 そして、作者は父親を亡くしてから自然の中に今は亡きのその人の存在を意識するようになったと記しています。 英会話教室でよく同席する知人とは「お正月にはには静岡までドライブしてお寿司を食べる。」、「イケメンの担当美容師がお店を辞めた」等々の会話はし

          「雲の裂け目」の読書感想文

          化粧

          彼は電車の中で青空文庫を読んでいた。原民喜の「雲の裂け目」は今は亡き家族との思い出を綴った手記である。彼はその小説に描かれた光景を実感として受け容れられない表現があった。 "庭の樹が向こう側から自分を見ている感覚" それだけは彼には想像すらできなかった。 彼の眼前の座席では手鏡を使いながら化粧をしている女性がいた。カーゴパンツとTシャツ姿の彼女は下地クリームを器用に塗り拡げていく。そして、ファンデを薄く、ムラのないように慎重に載せたあとは薬指のチークとアイラインで仕上げをして

          終末の週末?

          ようやく週末です。今週はかなり疲れました。 英語の資料の"g"と"q"、大文字の"I"と小文字の"l"、 retaliation(報復)"と"retaliatlon"(????)"、どちらが正しいのか区別ができない状態の時に近所のカフェに立ち寄りました。 白亜の壁とアンティーク調に統一された店内。そして、マスターが淹れてくれた美味しいコーヒーで休憩している時に癒やしの悪魔が私に囁きました。 「誰でも平等にストレスとプレッシャー晒されている。だから狂っていくのだ。スマホを開けば

          終末の週末?

          古い日記

          西日が差し込む午後のカフェ。ラピスラズリ色のエプロン姿の店長マナミはカウンターの内側で母親が遺した古い日記を読んでいた。 4月15日 快晴 久しぶりに色彩小路の「あじさい」にて夕食にした。独り暮らしはこんな時に融通が利く。独り身も悪くない時もある。長い付き合いになる店長の誠ちゃんはドクター・ストップで引退する予定らしい。味噌煮込みの薫りが染み付いたこの店がなくなるのは非常に惜しい。お店は知り合いに居抜きで貸して、生活費の足しにするらしい。お互いに年金ぐらし、それを聞いてなん

          古い日記

          ジョン・ガードナーについて〜或いは哀しい性〜リプライズ

          その図書館は地上8階、地下二階建ての非常に大きな図書館である。ラウンジ・スペースでは飲食可能なスペースがあった。資料請求した本が書庫から準備できればスマホに通知される。最新のトレンドにも対応していた。ジョン・ガードナーの「オクトーバー・ライト」が書庫から受付カウンターに届くのを待合室で待っている時に彼に話し掛けてくる男がいた。 「そうなのかい?あんたもあの映画のファンなんだ。それは奇遇だね。」とその男は城山に嬉しそうに語りだした。その男はジョン・レノンのTシャツの上にジャケッ

          ジョン・ガードナーについて〜或いは哀しい性〜リプライズ

          「オチ」はどこへ溶けた

          差別は決して許されない。偏見は正しい価値観ではない。そんな事は誰でも知っている。それでも自分の中にそれらが存在している事を自覚させられる出来事は必ず起こる。 城山の英語検定の模試の成績はC判定だった。公園のベンチで遊歩道の向こう側の散りはじめた桜を苦い顔で見つめていた。彼の横には食べ終えたコンビに弁当が無造作に置かれていた。味は覚えていない。 その時にドレッド・ヘアーのジャマイカ系黒人らしき人物が彼の方にゆっくりと近づいてきた。そして、地面を指差して、こう言った。 「あなたの

          「オチ」はどこへ溶けた

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文〜その3〜

          ジョン・ガードナー著「オクトーバー・ライト」は収蔵している図書館が少ないです。その理由を考えてみました。 この作品は「ショットガンでテレビを撃ち抜く老人と同居する姉の大喧嘩」をメインにして、自分の部屋に閉じこもった姉が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。 本筋のバーモントの田舎町で暮らす姉と弟、そして、彼らの家族及び友人にはしっかりと過去や現在の状況が描かれます。こちらは大学生だったレイモンド・カーバーに創作の講義を行った著者ら

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文〜その3〜

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文

          ジョン・ガードナー著、宮本陽一郎訳「オクトーバー・ライト」を読みました。 ショットガンでテレビを撃ち抜くジェイムズと同居するサリーを中心とした物語。そして彼女が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。 この作品は登場人物の発言と行動が特に面白い。 「バスタブの中で溺死させるのであれ、ブルドーザーで轢き殺されるのであれ、同じ方法で人が殺される番組が毎晩三つは必ずあるはずだし、」 これはジェイムズの娘のジニーの台詞です。これでジェイムズ

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文

          昭和の空

          重たく、苦しい、昭和の空の下を彼は淀みだらけの足取りで街灯の下を過ぎる。クライアント、違う、あの頃はそんな言葉はなかった。お客様の急な設計変更で徹夜に次ぐ徹夜で疲労が頂点を越えそうな夜に限って、帰宅に向かう電車の中で酎ハイで乾杯している女の子たちと鉢合わせをする。 「プハ〜! リンキン・パークのライブ帰りに飲む酒は最高だね〜!」とA娘。 「ラッパーの彼がさ、アタシだけを見つめていたのよ。今夜は熱すぎて眠れないよ。プハ〜」と彼の熱い抱擁とそれからの秘め事を想像しながらクビっと飲

          昭和の空

          私は読書家ではありません

          読書は好きです。しかし、読書家ではありません。本に見事に読まれてしまいます。紙のノートには印象的な文章を書き写しています。 そこですぐれた文体たるための第一規則は主張すべきものを所有することである。    〜ショーペン・パウエル〜 もし小説の中の言葉が作者の無神経さや、不注意さや感傷なんかによって不鮮明になっていたら、その作品はとりかえしのつかないハンディーキャップを背負うことになるというのがガードナーの持論だった。 〜レイモンド・カーバー「ファイアズ(炎)」より〜 そ

          私は読書家ではありません

          滝へと続く小径〜Vol.2〜前書きつき〜

          山を超えて、大雨で橋桁が流された川では水面に顔を出す飛び石で道を繋いできた。限界が脳裏に浮かび始めた頃、森の間からその滝は見えていた。 「水は高きから、低きに流れる。」 滝から通じる小川には散りはじめた桜の花びらが流されていた。それを飽きずに眺める野良猫がいる。その光景に人生の儚さを投影するのは人間の可笑しくも、面白い部分だろう。野良猫は刹那に流して、次の目標に狙いを切り替える。 その小川の淵に植えられた桜の下では幕末の新選組と平安貴族に扮したコスプレーがオードブルと白ワイン

          滝へと続く小径〜Vol.2〜前書きつき〜

          「滝への新しい小径」の読書感想文

          レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳「滝への新しい小径」を読みました。同著者の「ファイアズ(炎)」には彼に大きな影響を与えたジョン・ガードナーの教えに「土地(ground)」と「大地(earth)」の違いがありました。 It means ground, dirt, that kind of stuff. But if you say “earth“ that's something else, that word has other ramificatons. それ

          「滝への新しい小径」の読書感想文