桜の木は手をのべている。

ふる、と揺れる花を総身につけ、涙のようにあえかにこぼしながら。
横ざまへ伸びる枝が、さしのべた手に見えるのはどうしてだろう。
去ったものへ、それともまだ見ぬ明日へ。

力の限り花を咲かせ、虚空に手をのべる姿に心を掴まれてしまう。
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