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2024/03/20 宝石

 祝!大学の単位を取り切りました!つまり卒業!

 明るく書いたは良いものの、実はそこまでの達成感とか感動があったわけでは無かった。そもそも卒業の発表がある日を知らなくて、友達に言われて偶然知った。その場で確認したものの、「まぁ何度も何度も確かめたしな」という感想だった。
 1度くらい、卒業できない悪夢を見て目が覚めるという体験をしてみたかったな。なんかコロナ禍でヌルッと入学して、コーヒーを飲みながらヌルッと卒業してしまった。もうちょっと喜びたかったな。
 そういや学位が貰えたってめっちゃ喜んでる怪しい研究者もどきがいたっけ。あんなに喜べるなんて (しかも厳密には学位とは違うらしいじゃないか) 一周回って羨ましいな。

 今のところ2月は論文の執筆と単発バイト、3月は就活関係のイベントで溶けています。かなりてんてこ舞いですが、思ったより遊べてはいます。今日はそんな遊んだ話を2つ。

サファイアブルーの喫茶店

 友達が就職を機に引っ越すので、楽に会えるウチに会っておこう。というノリで前々から行きたかった喫茶店に誘った。今回のメンバーは24卒で引っ越すMさん、早期卒業制度を使い25卒で修士号を取る予定のAさん、26卒で入学を控えた私の3人。同年齢なのに就職のタイミングがバラバラな部分に人生を感じる。みんなそれぞれなんだね。

 最寄り駅で落ちあうことになってんだけど、私は2番目。最初に来てたAさんと合流しようと場所を聞くと、1枚の写真が送られてきた。そこに写ってたのは案内表示。「ここにいるよ」というメッセージ付き。ゲリラで謎解きが始まった。
 案内板に書かれた出口の番号から、私のいる場所からそう遠くないことは分かる。ただ、出口の方向からして私のいる場所よりも駅の中心部に近い。他にも案内表示の後ろの壁のタイルからも推測できる。それによると、どうやら私のいる区画ではなさそう。
 ただ変に移動するとすれ違ったり、かえって出口から離れてしまう可能性があったので、ある程度捜索してギブアップを宣言した。するとAさんはより分かりやすい場所に移動した。私がそこに着く頃、もう1人の友達のMさんもちょうど到着して、無事3人揃った。私の中でゼルダの伝説の、謎が解けた時のジングルが鳴った。

 目指す喫茶店は駅から出て徒歩0分。すぐ目の前に見つけることができた。少し列ができており、喫煙所の横で待たされる。メニューを渡された。事前に調べた写真にあった、カラフルなゼリーポンチが載っていた。
 話題はMさんの引越しの話。引っ越すって物入りらしい。正直そこまでの金額でも無いっしょ〜と思ってた私は、文字通り桁違いの額に驚いた。家具から何から全部揃えるとそれくらいになるそう。私はそれを聞いて「何を諦めようか……テレビはモニターで代替がきくし、最悪無くても良いかな…?」とか考えていた。
 Aさんはすでに1社から内定を貰い、それで就活を終えていた。正直院卒はもっとしんどいかと思っていたけど、3月の時点で内定を貰っているのは意外。何とかなるもんかなと思った矢先「内定貰えたところ以外は全部書類落ちだった」と言われ、「やっぱり院卒は院卒か……」と思った。ただ、法学研究科なこともあり法務部に直接採用されて、配属ガチャを引かなくて良いのはかなり魅力的。会計学から逃げている私は、そのカードは切れなさそうだけど。

 程なくして店内に通された。青い照明に照らされ、ダークブラウンの壁が暗く光る。狭くて急な階段を登って2階へ。階段の壁にもアンティークな小物や絵が飾られている。テーブル席に通された。テーブルの横にも円筒形の水色のランプが灯っていた。全体的にサファイアブルーで、海の底にあるみたい。
 Aさんは凄く上品にドレスアップしていたけど、あとの2人は適当に引っ掴んだ服を着ていた。店内の雰囲気を鑑みるに、もうちょっとシックにまとめてくれば良かったかなと、着てきた星野源のコラボパーカーを見て思った。(この服自体はお気に入りです!)

 実は共通の趣味とかは無いので、お互いの近況報告が続く。そもそも私の友達は、趣味で繋がっているというより価値観や生きる方向性が似ていたという理由で一緒にいることが多い。AさんとMさんの類似度は知らないけど、私は少なくとも2人と価値観が近いと思う。
 Aさんが内定した企業の具体的な名前を聞き、その上で「興味のあることしかできないから」と内定の秘訣とも書類落ちの理由とも取れることを教えてもらう。興味のないことができます!と自信を持って言い切れる人っているのかな。多くの人は、興味のないことが興味のあることに繋がってると分かっているから、それができるんじゃないのかな。

 Aさんはゼリーポンチを、Mさんはカフェオレ (だっけ?) を、私は普通のコーヒーを注文した。やっぱりゼリーポンチは綺麗で、私もそっちの方が良かったかなと少し後悔。インスタグラマーごっこをするAさんとMさん。
 1番シンプルなのになぜか1番遅くコーヒーが運ばれてきた時には、後悔は無くなっていた。深い青に良く合う藍色のソーサーと、控えめに輝く金に縁取られたカップがとても上品。写真は撮らなかったけど、1番喫茶店を味わってるような気さえした。

 そこからも取り留めのない話をした。私の就活状況を話すと、Aさんは「騙されてない?」としきりに心配してくれた。ベンチャーに行くつもりは無くて、経験を積むためだから大丈夫だよ〜と返しておいた。実際そう。就活をやっていると忘れがちだけど、私はゆったりした時間も好きだから、こうやって友達とのんびり語らうんだよね。
 Mさんは4月からここを離れて暮らす。完全な配属はまだ分からないらしかったけど、どこに行ってもそれなりに希望通りらしい。そもそもの企業風土とのマッチングが上手く行ってるみたい。Aさんもそうだけど、マッチングが上手くいくことで収束するって綺麗事じゃ無かったんだね。絶対嘘だと思ってたよ。

 話が尽きてきたあたりで移動。Aさんオススメのラーメン屋で昼食兼夕食をとることに。辛味が利いてて美味しかったし、すごく満腹になった。
 話題は大学院進学後の研究の話。研究室の人間関係はやはり風通しが悪く、上手くやらなきゃいけないんだと。私は早くも教授とコミュニケーションの波長が合わないことが発覚したので、適切な距離感を探らないとな。
 Aさんも私も、少ない人と濃い繋がりを紡いでいくタイプなんだけど、少ないことには変わらないので、人生の転機をキッカケに大きく友達が減った感覚になりがち。だからこうやってたまには会いに行かなきゃ。Mさんにはライブで近くに行ったら寄るね!と伝えておいた。

 就職したら企業の名前を言うか否かで、Aさんが言った言葉。「まぁ相手のことを、この先も付き合っていこうと思ってない限りは言わないよね。」それを聞くに私はまだ、この先も付き合っていこうと思われてる側らしい。純粋に嬉しかった。まだ1対1で会うのは結構ハードルが高いけど、色々とお土産を持って、AさんにもMさんにもまた会いにいこう。

 今生の別れでは無いけど、もう簡単には会えなくなる友達との貴重な時間はとても有意義なものだった。ゆったりとしていて、わざと特別感が抑えられた、日常の延長線上にあるものだった。そういう時間がこれからもたまに見つかれば良いな。


回転の宴に行ってきた

 今度は別の友達とスシローに行ってきた。原神コラボイベントが目当て。SさんとTさんと私という布陣。深く繋がる友達と、たまたま同じ人と仲良かった別の友達、みたいな関係性になるので、3人が多いんです。
 繁華街に降り立って歩いていたら2人はすでに着いていて談笑していた。Sさんは愛媛旅行から帰ってきて直で来たらしい。私は愛媛を姫路と間違えて、話を飲み込むのに時間がかかった。それを見ていたTさんも、数分前に全く同じ間違いをしたらしい。2人ともセンター試験で地理を選択したはずなんだけどな。

 スシローについて受付を済ませる。やはりと言うべきか3人とも予約していなかった。まぁ平日だし大丈夫っしょ!という油断もあって、私は完全に忘れていた。
 待っている間はTさんが学会発表に行った話をしていた。7人の学生に対してダブルベットが2つの部屋×2。すごく狭かったらしい。また、自分の学会の食事は質素だったと嘆いていた。他の学会ではもっといいものが出たんだと。
 Sさんは愛媛で何をしたのかと聞くと、温泉に入ったぐらいしか返ってこなかった。本当は色々やってるんだろうけど、私たちが知らない人 (=中学の頃の友達) と行ったからなのか、あまり話が膨らまないことを見越して多くは語らなかった。あるいは疲れていただけなのかもしれない。

 見立て通りそこまで待たされることなく入ることができた。座席にはワイドなモニターがついていた。FPSゲームをやり込んでる人が使ってそうな大きさ。くら寿司にあるびっくらポンのようなミニゲームもあるらしい。結局似たようなことをやるのが、業界で生き延びていくのには必要なんだろうか。
 目当ての原神コラボメニューは、最も目玉になっていたものが売り切れていた以外は食べることができた。個人的にお腹が空いていたので、私はたまたま同時にやっていた冒険少年コラボメニューの大きなトロ(だっけ?)の方をたくさん注文した。

 友達とは別に原神の話をするわけでもなく、ミニゲームの話をしたりお互いの近況を話したり、記憶に残すまでもないほどくだらないことだけを喋っていた。良く言えば、その場限りで思いついたことから会話を広げていく、一期一会的な漫談かな。言語化って難しいね。
 なんとなく話題も尽きた頃に、席に座ってから◯分経ちました!というアナウンスが出た。「出て行けってことか〜」と言いながら席を立つ。特にSさんは疲れているだろうから帰る流れかと思っていたけど、当のSさんの零した冗談からカラオケに行くことになった。

 もう3人とも疲れているので、とりあえず思いついた曲を適当に放り込んで歌っていく。私は最近ハマっているサカナクションを多めに選曲しつつ、かなりマイナーなユニゾンの曲を歌っていた。友達じゃないと許してくれなさそうな曲をたくさん。
 友達は2人とも流行りの曲か趣味全開の曲の2択だった。Tさんが特に面白かった。趣味100%に振り切るとインディーズだらけでカラオケに無いので、仕方なく流行っている曲を入れた。それがラブソングで、本人からは微塵も感じないし、本人もそれを自覚した上で恋愛という属性を歌っているのが何か面白かった。

 最後は3人でシャルルを歌ってお開き。Sさんとは卒業式に行くことを約束して分かれた。とりあえず大学院を生き残ろうねとTさんとは言い合った。

 そこそこ経って現在、私は脳死でサマーインターンにエントリーしていた。ふと振り返ってみると、エントリーした会社の数が15社を超えている。そんなに上手くいくはずは無いけど、必ず1回選考があったとしても15回は最低でもあることになる。
 徐々に手が回らなくなってきた。ギッチギチに詰まったカレンダーは、就活の予定で真っ赤になっている。一昨年はもっともっと緩かったよね……?4月から授業が始まるので仕方ないとはいえ、最近は予定をジグソーパズルみたいにして埋めている。合間に勉強もしつつ。

 「生き残ろうね」という言葉が真実味を帯びてくる。ライブを休憩ポイントにして、本当、上手に生き延びなきゃ……。

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