読みかけ日記 「新しい人体の教科書」山科正平

 白状します。私、体の声を聞くことを繰り返すという呼吸のワークを受けているのですが、体の構造についてこれまでよく知りませんでした。

 ワークの中で、〇〇筋が伸びるとか言われても、体の中に今起きている「感覚」は捉えられても、「〇〇筋」はどこにどのような形であるのかはわかっていなかったことが多々ありました。

 先生は「体の中では解剖学とかで言われていることとは違った感覚が生じることもある。今、知られている知識が全てではないのだから、そういう知識がないことは問題ではないし、書かれていることと違う感覚が自分の中にあったとしても、決して『間違い』なのではない」とよくおっしゃるのだけど、先生も指導者資格を取る段階で、基本的な知識を学んだ上での発言であることを考えると、いつかは私も基本的な勉強くらいはしないとなあと漠然と考えていました。

 先日、ワークの中で肺と横隔膜の形が自分の中に今までにないリアルな感じでイメージできたので、ふと、少し前に買ったこの本で、横隔膜のことを読んでみようかと思い立ち、手に取ってみました。

 こういう本なら単語による索引があるはず。「横隔膜」を見てみると複数のページにあるらしい。最初に出てくるのは174ページか...と開けてみたら、そこは「心臓」の項。

 え?心臓?ちょっと意外だったが、「横隔膜」はどこに出てくるの?と読んでいったら中段の「心臓の位置」という項目の最初に「心臓は縦隔の中にあって横隔膜の上に乗っている」という文章に出会いました。

 「横隔膜」は歌の発声とかで「横隔膜を下げて!」とかよく言われますし、呼吸のワークでも話題になるので、呼吸との関わり、肺との関係のイメージはありましたが、心臓との関わりは意識したことがありませんでした。

 心臓は「乗っている」というだけで特に横隔膜と相互に何か作用し合っているわけではないのかもしれませんが、何だか、心臓が乗っていると思うと力づくで「横隔膜を下げて‼︎」と力んだりしてはいけないような、もっとデリケートに丁寧に扱わなければいけないのではないかという気がしてきました。

 他のページを見ると、横隔膜はその弛緩と収縮によって呼吸に深く関わっていて、絶えず動いているものではあるのだけど、それは人間が意思でコントロールなどしなくても呼吸を支えてくれているもの、そのことに敬意を払い、歌とか声を出すときにも、人間の意思に従わせるのではなく、むしろ敬意を持って利用させていただくもの、力づくで従わせるようなものではないという気がしてきました。

 そして最初に開いた「心臓」の項。母が心臓を患っていて、通院に同行していたときにお医者様から聞いたことの原理はこういうことだったのかと新たに発見することもありました。

 初めて174ページを開いたら、本の栞が挟まっていたのも「ここを読め」ということだったように思います。

 この本は通読するというより、こうしておりに触れて、自分の関心を持ったところから紐解いていく本なのかもしれません。その意味で、永遠の「読みかけ」になりそうです。

写真(イラスト?)はみんなのフォトギャラリーで「肺」で検索したらとてもシンプルの肺、心臓、横隔膜を図解してくださっている画像を提供してくださっていた坂井さんの画像を使わせていただきました。ありがとうございます。

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