見出し画像

「難民でも能力しかみませんから」の落とし穴。

先日、“難民人材を採用する企業の発掘”に、頼もしいパートナーが加わりました!商船三井さんと新しい連携がスタートします。



「人材やってる会社と連携したら?」というのは、実はこれまで何度もいろんな方からアドバイスいただいてきたことでした。人材の会社さんとお話することもありました。

でも「なるほど、難民でも優秀な人がいるなら、登録してうちのサービス使っていただいてもいいですよ!」で終わってしまうことが多かった。

「うちは外国人でも差別しませんから」
「難民であっても能力しか見ませんから」
「僕らは意識してませんから」

…は素晴らしいこと。

素晴らしいけれど、しかしここには落とし穴がある。

マイノリティが、”強いマジョリティ(多数者)”とは異なる状況に置かれていることは多々ある。
そもそものスタート地点が違うこともよくある。
個人の頑張りでは乗り越えられない、社会の仕組みや歴史が生み出した構造による格差の場合もあれば、心身の障害や民族を含む出自の場合もある。

日本に来ることなんて想定してなかった中での偶然の組み合わせでなんとか逃れてきた難民の人たちに関しては、例えば、日本で学部を卒業した留学生と比べて日本語能力で測ったら勝ち目がないこと、など。

ここで出てくるのが、D&Iの先にある、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の概念に含まれるEquity (公正)。

Equity(公正)はEquality(平等)とは違うもの。

背の高さが異なる人に同じサイズの椅子を渡しても、壁の向こうは見えないよね、という有名なイラストを思い浮かべる人もいるかもしれません。



今回の業務提携の背景には、難民の背景がある人たちの日本での就活(いや、そもそも生活)にどんなハードルがあるのか、素晴らしい人間性やスキルを持っていても活かせないのがなぜなのか、そこを乗り越えるためにWELgeeはどんな伴走をしてるのか、じっくり議論し話し合いました。とはいえビジネスとして進める商船三井さんの挑戦や今後の展望もがっつりお聞きし、お互いが、どんな役割であれば一緒にやることで価値創出ができるのか考えてきました。

そういえば、今年の2月、執行役員の向井さんと出会うきっかけになったパネルディスカッションのテーマは「DE&Iは生命線 公正性を組織や社会に浸透させるには」だった。

登壇でのお話を聞き、向井さんともっと話をしてみたくなり話しかけた。ここから、こんな提携が生まれたなんてちょっと鳥肌が立ちます。
サステナブルブランド会議の皆さん、素敵な出会いをありがとうございます。

お互い新しい挑戦だけれど、Co-Creation(共創)は異なる役割・強み・経験の双方が、歩み寄り生まれるイノベーションである。想定の範囲のCollaboration(協業)ではなく、ときには想像を越えた何かが生まれる。と、私は思ってる。それは、妥協ではない。時間のかかるプロセスだし、お互いがTaker(利益を得ようとする側)の場合は生まれてこない。



当然、違いはある。差異はある。

ストレスで体と心が思うようについてこなかったり、祖国に残してきた家族の心配もある。
自分が全く異国の日本でどんなキャリアを目指せるかわからなくなっていたり、在留資格の心配もある。

難民でも能力しかみませんから。
障害があっても能力しかみませんから。
産休あけでも能力しかみませんから。
トランスジェンダーでも能力しかみませんから………

そういった歴然と存在する差異を、強者がよかれと思い「これっぽっちも違いだと思ってませんから」と切ってしまうことで、マイノリティの声は届かなくなる。

そんな甘いこと言っていたらビジネスは成り立たないんだというお叱りもあるかもしれないが、そういった違いを強みにして輝いている企業も知っている。

改めて、思った。

私たちは「違いを意識しない社会」を作ろうとしてるんじゃない。
違いをなかったことにするのではない。
ひとりひとりが違うんだという前提の上に立ちながら、違うからこそ生まれるイノベーションやハレーション(衝突)から、学び合える組織や社会の中に生きてゆきたい。

長くなってしまったけど、そんなことを考えてる中で、今回の提携はとても嬉しいニュースなのです。

一見、難民の課題って、弁護士さんや支援団体や国連しか関われないような、遠くて専門性の高いイシューに聞こえるかもしれないけれど、実はCo-Creationの可能性に満ち溢れています。大きな変容をまさに経験している企業さんもある。一緒に取り組むアクターがもっともっと増えた先に、これは特別な取り組みではなくなってゆく。

自らの境遇にかかわらず、共に未来を築ける社会を、WELgeeは作ってゆきたいと思います。でも、それは、いちNPOでは届かない。

もし、何か一緒にやりたい!という企業さんいらっしゃったらぜひお話しませんか?

そして、この活動を個人で支えてくださるマンスリーサポーター(WELgeeファミリー)も絶賛募集中です。300人の仲間が待っています!

DEIってなんだろうということを、少しでも考えるヒントになっていたら嬉しいです。

ここでいただいたサポートは、入国管理局に収容されている方々に面会で会いに行くときの交通費に使わせていただきます。ありがとうございます。