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QUEENの「’39」と併せて読みたい「火星年代記」

QUEENのギタリスト、ブライアン・メイの楽曲「’39」。

曲の考察については諸説あるでしょうが、私個人としては、「地球環境が破壊されたため、人類が新しく住める惑星を探しにいく旅の歌」と捉えています。

読み終えた時、この「’39」を彷彿とさせられた本がありました。

アメリカの幻想作家、レイ・ブラッドベリが書いた作品「火星年代記」(ハヤカワ文庫)です。

おおまかなストーリーを書くと、火星を舞台にした群像劇です。

「群像劇」の主人公になる人は章や話によって様々で、火星人の女性から探検隊の隊員、移住してきた一般人、神父、取り残された人など……。

移り変わる時代の中、時折「あ、前の話に出てきた人!」が登場したりもするので、まるで火星で一緒に時を過ごしてきたかのような、「久しぶり」と声をかけたくなるような感覚に陥ります。

そんな心の温かさを感じる一方で、終始物語の底辺に流れる切なさのようなものも、この本の魅力。

何ひとつとして、同じものはないのか。

すべては移り変わっていくものなのか。

それとも繰り返していくものなのか。

人ひとりの人生という小さなものはとっくに飛び越えて、人類・惑星の流れというものに思いを馳せずにはいられません。

この壮大なスケール、時を戻せない感覚が、「’39」と「火星年代記」を繋げているような気がします。

なかなか抜け出せない余韻に浸りながら本を閉じた時、無性に「’39」が聴きたくなりました。


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