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早く私を抱いてよ???

タイトルを見て驚いた方もいるかもしれないが、今回は方言のお話だ。


以前の勤め先の同僚・Aさんは、若かりし頃私の故郷である富山に赴任していたそうだ。

湘南の人が真逆の日本海側に来たのだからそりゃさぞかし驚いただろう。言葉も最初は全然わからなかったらしい。富山弁を初めて聞いた人に言わせると、いつも喧嘩しているように聞こえるそうだ。しかし話している本人たちはそんなつもりは全くなく、むしろフレンドリーぐらいに思っている。

そんなAさんも少しずつ富山の生活や方言に慣れ始めた頃、職場で一緒に働く女性の文房具を悪戯で隠したそうだ。

その女性はぷんぷんしながらAさんの元にやってきて、

はよ、だいてよ!

と言った。

初心うぶな湘南ボーイ(当時二十歳)の脳内ではこのように変換されていた。

早く(私を)抱いてよ!

と笑。

ただ文房具を隠しただけなのに、公衆の面前でなんてことを言うんだ!と思ったらしい。
だが富山弁ネイティブならこう解釈する。

早く出してよ!(私のものを返して!)

となる。

「だいて」は富山弁では「出して」の意味である。方言とは面白い。
ちなみに私は親や友達とは方言で話すが、それを聞いた人は「イメージが変わる」とのこと。

津軽弁などは寒さをしのぐという理由から、言葉がどんどん短くなっていったと聞いたことがある。

北には北の、南には南のお国言葉があるのだ。同じ日本語なのに、微妙なニュアンスの違いがあるのも面白い。

そうそう、北海道の人は手袋を「履く」という。手袋は履きませんよーと先輩に言って笑っていたら、私もついつい方言が出て後輩に指摘された。

「zoéさん、布団は着ません」

え!!?布団は着るものでしょ?!とびっくりしていると、布団はかけるものだと後輩に指摘された。これは我が家だけなのかもしれないが、布団は着るものだと思っていた…。そして今でもこれが直らない。(※諸説あり、地方でも差があるようです)

大学時代の同級生に、同じ北陸地方の福井出身の子がいた。その子が言った忘れられない方言がある。

ツルツルいっぱい。

??

ちょっと意味わからないでしょ?笑

え?鶴がいっぱいいるの?(敦賀つるがだけに←関係ない)

その子が言うには、福井ではコップに水がたくさん入っている様をツルツルいっぱいと言うらしい。

そっ、そっかぁ。
それは『なみなみ』とは言わないんだね。

と入学して間もない頃、各地から集まってきた同級生の方言に驚いていた。そして標準語の人たちも4年も住んでいれば案外富山弁が話せるようになる。

私の友人の姪っ子たちは東京で生まれ、小学校入学と同時に親御さんの仕事の関係で富山に引っ越した。
東京から来た子なんて富山に馴染めないのではないかと心配していたが、久しぶりに会ってみると、すっかり富山に馴染んでいたという。
しかもすっかり富山弁ネイティブになっており、もはや友人の知らない言葉で話す姪っ子たちは、富山弁でお馴染みの「なーん」を連発していたようだ。(※なーんはいいえの意味)

富山の方言がフランス語に似ていると言われるのはこの辺にある。(ウソです!)





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