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書店であった嘘のような本当の話①A書店

書店員歴約15年、いろんな書店で働きました。

まずは街の小さな路面店、A書店。店舗は約70坪ほど。駐車場が広く、雑誌、文庫、コミック、学参、児童書、実用書、文芸書、あたりをそつなく置いています。医学書(お医者さんが読む方)や法律などの専門書はありません。ここでは店長が何から何まで取り仕切っていたので、専門的な知識はほとんど知らずに過ごしてしまいました。木村拓哉さんの「開放区」が発売され品切れ状態が続いた時、問い合わせを受けてもどうにもできず。マリーアントワネットさながら

「本がなければ注文すれば良いじゃない」

と本気で思っていたのです。なーんにも知らない、いちパートとしては。それが、店長曰く「注文してもなかなか入って来ないんだよ。うちみたいな小さい店には」と。いわゆる配本という仕組みです。間に入っている問屋さんが、この店にはこの本は何冊、と決めているんです。これが不公平極まりない。と、小さな書店にいると地団駄を踏む思いでした。

だって、うちの店にはたったの5冊しか入らずすぐに売り切れたのに、都心の大きな書店には100冊とか200冊とか入るわけですから。当然お客様は「どうせあの小さな店にはないだろう」となってしまうわけです。

雑誌のananの表紙が嵐の松本潤さんのヌードだった時も。配本が何冊だったかはさすがに覚えていませんが、レジにいると自動ドアからレジへ直行してくる女性客のほとんどが

「ananの最新号ありますか?」

と問い合わせてくるという(笑)。仕事帰りにドラッグストアで買い物をしていたら、雑誌コーナーに誰も立ち読みした形跡のないきれいなananが5冊あって、絶対配本まるまる残っているのだなと思いました。次の出勤日に店長に話したら、「(店用に)買って来てくれよー‼︎」と。

皆さん本屋にばかり行きがちですが、その頃はドラッグストアの雑誌コーナーは穴場だったのでしょうね。コンビニやドラッグストアは書店とはまた入荷のルートが違うのですけれど、仕入れに関することはあまり詳しくありません。

この書店では3年ほど働きました。何年も新卒はおろか正社員を採用していないので到底社員にはなれないし、あまり稼げないので一番下の娘が中学へ上がるタイミングで退職し、デパート内にある書店チェーンへ契約社員として採用していただき転職しました。

ちなみに書店のイニシャルは頭文字ではありません。

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