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ゲームレビュー

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ゲームのレビューや感想
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記事一覧

『未解決事件は終わらせないといけないから』『リーガルダンジョン』の良さと悪さを味わう

大作・話題作ラッシュに世間が沸いた1月下旬から2月上旬、ある作品が一部界隈で話題になっていました。 テキストアドベンチャー『未解決事件は終わらせないといけないから』です。Steamレビューは「圧倒的に好評」。筆者の周りでも絶賛する人が多かったため、筆者も流行りに乗ってプレイしました。 実は筆者はこれまでテキストアドベンチャーをあまりプレイしていませんでした。どんなゲームをやっていても、ゲームメカニクスへの興味が強く、ストーリーにあまり関心が向かないのです。 そんな筆者でも

風来のシレン6は本当に面白いのか?

風来のシレンシリーズ14年ぶりの完全新作『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』が1月25日にリリースされました。 風来のシレンシリーズには根強いファンが多く、久しぶりの新作を喜び、楽しんでいる人の声がSNSでは多く見られます。自分もその一人で、今作も発売日に購入し、「とぐろ島の神髄」クリアまで夢中でプレイしました。 しかし、自分が嬉しかった・楽しかったということと、作品の善し悪しは別問題です。この記事では、風来のシレンシリーズにおける今作の特徴を分析し、レ

Palworldレビュー - Pocketpairの邪悪パワーを考える

『パルワールド』が史上稀に見る大ヒットとなるなか、インターネットでは様々な議論が盛り上がっています。しかし、発売からまだ日が浅いこともあってか、ゲームの中身についてはまだあまり掘り下げられてないのではないでしょうか。 この記事ではポケットペア社の過去作品の作風を分析し、『パルワールド』のレビューを試みます。 突如現れたユニコーン「Pocketpair」2015年に設立されたインディーゲーム企業Pocketpairは、1月19日「オープンワールドサバイバルクラフトゲーム」『

自分のメインストーリーを受け入れよう - Baldur's Gate 3の感想

2023年のGame of the Year受賞作、Baldur's Gate 3を少しプレイしたので感想を書きます。Baldur's Gate 3がどんなゲームか知らない方は、以下の記事がおすすめです。 約20時間プレイし、第1幕(Act 1)を終了させられる地点まで進めた。 このゲームには多くの優れた点と悪い点があるが、大体の悪い点はシンプルにすれば一言でまとめられる。「面倒くさい」だ。 マップは広く、多くの場所に移動でき、それぞれの地点にサブクエストやダンジョンがあ

ストリートファイター6に期待していたことと感想

『ストリートファイター6』を少しプレイしたので、自分が格闘ゲームや対戦ゲーム全般について考えていたことや、『ストリートファイター6』の感想を書きます。 プレイのきっかけもともと自分はアクションゲームが苦手ということもあり、格闘ゲームもほぼプレイしてきませんでした。以前は馴染みのないジャンルを敬遠する傾向にあったのですが、開発側の立場を経験してから「初心者の体験」に着目するようになり、「初心者」をやらせてくれるジャンルは積極的にプレイするようにしています。自分が専門のジャンル

Ukraine War Stories雑感

ロシアのウクライナ侵攻を題材にしたゲーム『Ukraine War Stories』をプレイしたので、思ったことをいくつか書きます。 ゲームの概要シンプルなビジュアルノベル。テキストを読み進めると選択肢が出現し、選択に応じて主人公や仲間の「心理状態」を示すパラメータが増減したり(大体下がる)、フラグが立ったりする。パラメータやフラグは明示される。 各シナリオの中盤以降は、パラメータやフラグの条件を満たしていないと選択できない選択肢が出現する(条件も明示される)。プレイヤーの

Magic Spellslingersの特徴まとめ・雑感

『Magic: The Gathering』のスピンオフDCG、『Magic Spellslingers』がひっそりとリリースされていました。 20時間ほどプレイしたので特徴と所感をメモしてみます(8月21日追記あり)。 ルールの概要ベースは『Hearthstone』です。とは言え、Hearthstone系のDCGの中では特徴的な箇所が多いので、主な違いを列挙していきます。 ・戦闘は防御側主導 『Hearthstone』は攻撃側のユニットが自由に攻撃対象を選べるが、『M

最強でんでんレビュー クソ広告界のAAAタイトルの実力はいかに

一部ネット上で話題のスマホゲーム「最強でんでん」が、6月8日にリリースされました。 この記事では、色々な意味で話題になった最強でんでんを実際にプレイし、ゲームの特徴や優れたポイントを解説します。 クソ広告界のAAAタイトルが日本上陸2022年5月ごろ、あるゲームの広告がYouTube・Twitter上に大量に配信された。 「2022最新ジャンル」などの文言や、ゲーム画面が一切表示されないことからも、よくある「クソ広告」に見える動画広告を大量に展開したのが「最強でんでん」

Pokémon UNITEレビュー 随所にひかるキッズ向けの工夫と懸念

株式会社ポケモンと中国Tencent社が共同開発するPokémon UNITEのネットワークテストが、6月24日から26日にかけて開催されました。 この記事では、Pokémon UNITEのゲームシステムの特徴をまとめ、開発者の意図を読み解くとともに長所や懸念点を分析します。 ポケモンMOBAがTencentから登場Pokémon UNITEは7月にSwitch、9月にスマートフォンでリリース予定の新作MOBAだ。MOBAはマルチプレイヤー オンライン バトル アリーナの略

2010年代ベストゲームを考えよう

・2010年1月1日以降にリリースされたものから10タイトル ・デジタルゲームのみ ・みんなも2010年代ベストゲームを考えて投稿しよう! ファイナルファンタジーXIV (2010) オンラインゲーム史上類を見ない復活を遂げ、MMORPGのあるべき姿を体現した。また、FortniteやFate/Grand Orderなどに見られる、ワンタイムイベントと大型アップデートの連携の先駆けとなった。 Clash of Clans (2012) 箱庭ゲームの内政と戦闘を分割し、二層

Hearthstone Battlegroundsレビュー 「HSのオートチェス」はどのくらいオートチェスなのか?

11月6日、Hearthstoneの新ゲームモード「Battlegrounds」の早期アクセスが開始されました。 この記事では、Battlegroundsのゲームシステムをまとめ、Auto Chessと比較。ゲーム体験にどのような違いがあるのか、分析します。 Blizzardがオートバトラーに参入いま「オートバトラー」というジャンルが熱い。 オートバトラーの元祖は2019年1月にリリースされたDota Auto Chessだ。Dota Auto Chessは人気MOBA D

Legends of Runeterraレビュー Hearthstoneの革命とRiotの挑戦 (後編)

前編ではRiotの新作DCG、Legends of Runeterraのゲームシステムをまとめ、独自性の高い要素を紹介しました。 後編となるこの記事では、DCGのゲームデザインのトレンドを解説し、Legends of RuneterraのゲームシステムからRiotの開発意図を読み解きます。 時代を変えたHearthstone2019年現在、最も有名なDCGは、Blizzard社のHearthstoneだろう。 2013年にHearthstoneが公開される以前にもアルテイ

Legends of Runeterraレビュー Hearthstoneの革命とRiotの挑戦 (前編)

10月16日、Riotの新作DCG、Legends of Runeterraの制作が発表され、16日から21日にかけてプレビューテストが実施されました。 この記事では、Legends of Runeterraのゲームシステムをまとめ、特徴を抜粋して紹介します。 また、後編ではゲームシステムからRiotの開発意図を読み解き、DCGのゲームデザインで注目すべき点を掘り下げます。 10周年サプライズ発表同時接続者数800万をほこる、世界で最もプレイ人口の多いPCゲーム Leag