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【戦後からの歩み】JAの変化をざっくりと数字で追ってみる

日本の農業とは切っても切り離せないJA。
JAについて少し知っている人なら、「JAは農産物の販売ではなく金融で儲かっている組織」というイメージを持たれている方も多いと思います。
今回はそのあたりが実際どうなっているのかを見ていこうと思います。
※JAの歴史についてはこちら、概要についてはこちらをそれぞれご参照ください。

先にまとめです。

まとめ
全国的に農協数は大きく減っていますが、組合員数は増えています。
しかし、准組合員の方が多い構造となっており、収益構造としても金融事業の黒字が農業等の事業の赤字をカバーしている形となっています。
世界的にも農業は保護されるべき産業として位置しており、そのための財源を確保するためにも個人的には金融事業は必要だと思いますが、保護の内容は少なからず既得権益や時代遅れの仕組みなどを生きながらえさせるための保護ではなく、産業としての競争力を上げることや食糧安全保障、環境保護などを総合的に判断した上で決定されるべきだと思います。

JAの数・人の推移

農協数の推移

農協(戦後農協)というのは、日本に戦前から存在していた農業会を戦後のGHQの農民解放指令によってアレンジした組織で、戦後は全国に14000近くの農協が誕生しました。(1992年に愛称が農協からJAに変わりました)
その後、データが拾えた1960年代から今年までJAの数は20分の1以下になっています。
数が減るというのは地域から農協がなくなるのではなく、市町村と同じように合併により1つの農協の影響範囲がより大きくなるということを意味します。
合併の原因は経営不振ですが、合併だけでそれが解決される訳ではなく、特に農業に関わる分野は職員の減少など、ただの縮小となってしまうケースもあるようです。
農協が本来行うべき農家組合員へのサポートも合併をすると難しくなり、結果として農協離れが加速してしまうというようなことも起きかねません。

下に近年JAの数が大きく減った都道府県をまとめていますが、現在、都道府県内に1つしかJA がない都道府県は5つ(奈良、島根、山口、香川、沖縄)あります。
ちなみにJAが最も多いのは北海道で100JAです。そして東京には意外にも14もJAがあり、全国的に見ても決して少ない方ではありません。

組合員数の推移

正組合員と准組合員が逆です。。

JAの数が減る中でも組合員の数は増えています。
しかし、2009年には准組合員(農家ではない一般の人)の数が組合員(農家)の数を超えました。
農家(基幹的農業従事者数)の数が1960年から2020年の間に4分の1ほどに減っているので、その数字と比較すると食い止めてる方かなとも思います。
人口に占める組合員数の割合は1960年は6.9%、2019年は8.3%で微増しており信用事業が稼ぎ頭となっている農協の貯金残高はメガバンクと肩を並べます。

職員数の変化

一方で職員数は1990年代を境に減少傾向に転じています。
その中で共済事業の職員数だけは大幅に増加している期間もあります。
一方で減少が激しいのは購買事業です。購買事業は農業資材を購買する活動と生活必需品などを購買する活動に別れます。(このデータだけではどちらの職員が減っているのかまで判別することはできません)
販売事業や営農指導事業の職員数は意外にもそこまで減っておらず、日本全国に広く点在する農家さんをサポートするためか、農家数や人口数と比較すると非常に緩やかな減少となっています。
ただ、全体として見ると農業に関連する経済事業(販売・購買・営農指導)の職員数よりも金融事業(共済と信用)の職員数の方が現在は多く、准組合員の方が多い農協の現状を表していると言えます。

収益の変化

金融事業強し

農業や生活関連の事業の赤字を金融事業の黒字で補填するという構造が完璧に出来上がっているのがわかります。

農業・営農関連を切ればいいのか

株式会社であれば赤字の3つの事業は確実に撤退対象ですが、協同組合である農協はそれは行いません。
赤字の3つ事業の恩恵を受けている人々の預金があって黒字の事業が成り立っているからです。
赤字の事業を手放したらJAはそれこそただの信用金庫です。
農家のための組織である農協は金融事業にばかり力を入れているという声もありますが、逆に農家に必要なサービスを届けるためには黒字を出しにくい事業と別で稼ぎ頭を作ることでその利益を農業関連事業に活かすという考え方もできます。
ただ、そのサービスが合併が続く中で本当に十分に届けられているのか、そもそも農協のサービスは今も必要なのかなどは議論の余地があると思います。

戦後の貧しかった時代は土地を与えられた(地主から取り戻した)貧しい小農たちのために、農民が結束する組織(=農協)は明確な存在意義がありました。
しかし、現在の農家さんは貧しいというよりはお年寄りというイメージの方が強いです。そのお年寄りの農家さんたちが多い中で世代交代が進まず農地の集約が進んでいないため農家は貧しいというイメージを持つ方もいるのかもしれません。
もちろん日本の中山間地が多い中でアメリカのような規模拡大が難しいのは明白ですし、アメリカのような国でも先進国であれば農業は保護される産業となっています。

ただ、それは産業としての競争力を上げるような保護です。
既得権益や時代遅れの仕組みなどを生きながらえさせるための保護ではありません。
とはいえ、産業として強化するだけでいいかといえばそうではなく、農業は食糧安全保障や環境保護(破壊)という側面も持っているので、このあたりも含め総合的に考える必要があると思います。

最後に

今回はJAの変化についてざっくりと数字で追ってみました。

全国的に農協数は大きく減っていますが、組合員数は増えています。
しかし、准組合員の方が多い構造となっており、収益構造としても金融事業の黒字が農業等の事業の赤字をカバーしている形となっています。
世界的にも農業は保護されるべき産業として位置しており、そのための財源を確保するためにも個人的には金融事業は必要だと思いますが、保護の内容は少なからず既得権益や時代遅れの仕組みなどを生きながらえさせるための保護ではなく、産業としての競争力を上げることや食糧安全保障、環境保護などを総合的に判断した上で決定されるべきだと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考
- JA公式webページ
- 農林水産省

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