jd🇳🇵農業

ネパール在住。農業が好きです。 ネパールを高級農産物の輸出拠点へ 清貧に生きる。

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ネパールの農業は日本以上にハードランディングかもしれない

日本の農業は農家の高齢化や農村の過疎化でこれから大変と言われていますが、こういった問題は多かれ少なかれどの国でも起きていることで、途上国であるネパールでも例外ではありません。 そんなネパールの農家の高齢化や農村の過疎化のこれからを考えた時に、日本以上に大変な状況になるのではないかと思ったので、その辺りについて書いてみます。 人口全体に先駆けて高齢化を経験し、小規模が多い日本の農業日本の農業を取り巻く問題として農家の高齢化と大規模化が進んでいないことが挙げられます。 高齢

    • ネパールで中都市を増やしたい

      ネパールにいると、「なぜネパールに来たのか」をよく聞かれます。 「今の先進国とは異なった発展を目指せる」と大学時に思ったことが一番の理由なのですが、うまく説明ができないため他の適当な理由で逃げてしまうことがあります。 当時「資本主義が終わる」みたいな論に注目をしていたため、資本主義(新自由主義)で格差が拡大する、環境問題が起こる等の課題を聞いた際に「ではどうしたらいいのか」ということを足りない頭で考えている時がありました。 そして資本主義の恩恵を最も受けていない最貧国ネパー

      • 後発開発途上国におけるビジネスキャリア選択

        学生時代、留学やボランティアなどで途上国へ行き活発に活動をしていた人たちのほとんどは、社会人になると日本で就職をして、その後、そういった国との関係性は希薄になってしまうように思えます。 今回は自分の経験も踏まえながら、後発開発途上国のビジネスにおけるキャリア選択とはどういったものがあるのか考えてみます。 (ビジネスということで国連、NGO、JICAなどについては今回は扱いません) 4つのカテゴリー私がいるネパールがそうなのですが、後発開発途上国には株式会社が多くありません

        • ネパールに紛争がない理由

          ネパールに初めて来た8年前からずっと不思議だった問いがあります。 それはネパールの治安の良さです。 世界最貧国とも言われるネパールですが、意外にも治安は良く、外務省の海外安全HPを見ても「レベル1 十分注意」と最も安全なレベルとなっており紛争なども現在はありません。 紛争等がなく、治安がいいことに越したことはないのですが、他の紛争国や治安が悪い国と何が違うのか、考えてみました。 治安が悪くなりそう・紛争が起きそうな要素最貧国 ネパールは世界最貧国の1つと言われています

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          土地なし農民の問題

          こんにちは。 ネパールで農業関係の仕事をしています。 日本では死語となりつつある「小作農」という言葉ですが、ネパールのような途上国にはそういった人たちが今でも一定数存在します。 今回は小作農などの土地なし農民について書きます。 現在の日本にはない農家のカテゴリー小作農とは「自らは土地をほとんどもたず土地所有者(地主)から借りて耕作し、小作料を支払う農民」のことを指します。 これだけの定義に従えば、実は日本の農家も1/3ほどは小作農であり、その割合はむしろ増えています。

          土地なし農民の問題

          ネパールにおける農業スタートアップ

          こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。 ネパールはスタバもなければマクドナルドもない、外国企業にとってはとても魅力がない国のようです。 しかし、そんなネパールでもテクノロジーの波は熱く、配車・決済・ネットショッピングはカトマンズにいれば問題なくできます。 今回は、エンジニアが人気職種であり、国民の6割以上が農業に従事していると言われているネパールにおける農業スタートアップについて英文記事を参考にまとめてみました。 スタートアップ一覧Agri Clear

          ネパールにおける農業スタートアップ

          公助がない国におけるNGOの必要性

          こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。 2月後半から忙しくなることを前に、なかなか行く機会がないネパール西端のエリアへ行き、あるローカルNGOの活動を拝見してきたのでそのあたりについて書きます。 片道21時間のバス旅を経てネパール南部西端エリアへ今回訪れたのはDhangadhiというエリアです。 カトマンズから700kg弱、今回は片道21時間ほどかかりました。 もちろん飛行機もあるのですが、バス移動で疲れたりするタイプではないので今回はバスで行ってみました。 (

          公助がない国におけるNGOの必要性

          共産主義とネパール

          こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。 第二次世界大戦後、資本主義陣営と共産主義陣営の間で冷戦があったことはよく知られていますが、ネパールのようなマイナーな国でも共産主義革命が起こっていたことを知る人は少ないのではないでしょうか。 共産圏ではないネパールですが、現在でも共産主義系の政党には一定の力があります。 今回はネパールに興味を持った人がネパールの歴史を手軽に知ることができるように、マオイストによる内戦(人民戦争)を中心にネパールの近現代をまとめました。

          共産主義とネパール

          個人主義と集団主義それぞれの幸せ

          こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。 現代の日本人の価値観では人々は積極的である方が良いとされ、世の中で没個性とならない人こそが豊かな人生を歩めるという考え方があると思います。 しかし、この「個人」を意識したリベラルな考え方は昔からあったものではなく、日本では明治維新以降に西洋から輸入されてきた価値観であるとされています。 日本を含めた東洋の国というのは伝統的には集団主義的な思想が強いとされています。 そのため、日本よりも西洋化が進んでいないネパールについ

          個人主義と集団主義それぞれの幸せ

          農業に投資できる環境を作ることの重要性

          こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。 ネパールは国民の6割以上が農業を行っていると言われ、農家の所得向上が国の発展の重要なキーになっています。 ネパールの農業がどうなっていくことが今後の発展のために必要なのか今考えていることを書いてみました。 農村は多いが本当に農業で食べていける地域は限られている日本の農業従事者は130万人ほどと言われ、1億2千万人以上の総人口の中で、割合にすると約1%です。とても少ないように感じられますが、この割合は特段珍しいものではなく

          農業に投資できる環境を作ることの重要性

          ネパールで土づくりを行う意義

          ネパールの農業について知っていく中で大きな課題の一つに「土づくりの不足」があると思ったので、そのあたりについて書きます。 「貧しい国の農業=オーガニック」ではないなんとなく、貧しい国の農業というと「自然の力に頼ったオーガニックな農業」とイメージをしがちですが、実際は場所によりケースバイケースです。 辺境地のケース 確かに辺境地のようなエリアでは農薬や化学肥料へのアクセスは難しく、また農家さんも栽培に対してそこまでコストをかけないため農業自体はオーガニックというよりは自然

          ネパールで土づくりを行う意義

          日本人として途上国で担うべき役割

          ネパールに来てから数ヶ月。 まだまだ知らないことだらけではあるものの、少しずつ日々が日常になっていく感覚があります。 私が後発開発途上国と呼ばれるネパールに来たのは、観光やボランティアではなく仕事をするためです。 ですので、その視点から数ヶ月経ったネパールでの仕事の中でできることや求められていることを考えてみます。 日本人というだけで現地人からの印象がいい 現地での移動手段としてよく配車アプリを使うのですが、現地のドライバーは私が外国人だと分かると、どこの国から来たのか

          日本人として途上国で担うべき役割

          なぜネパールは後発開発途上国なのか

          見えづらい貧困ネパールの都市部にいると路上生活者を見かける機会はインドやフィリピンなどより少なく、後発開発途上国と言われる割には、あまりいないと感じることがあります。 最近では道も舗装されてきており、電気や水のインフラも割と安定し、治安も良い、外国料理も割と食べられるとなると何をもって開発途上と言われるのかと思ってしまいます。 ですが、数ヶ月過ごしてみてネパールが後発開発途上国と言われる所以は、物価の高さ(収入の低さ)、農村部の開発度合いの低さにあると最近は考えるようにな

          なぜネパールは後発開発途上国なのか

          発展が許されない国

          2023/08/04より南アジアのネパールに滞在しています。 これまでは国内外の農業を中心とした記事が多かったのですが、これからはネパールでの仕事や生活、農業を中心に書いていきます。 人口25億強の中印に挟まれた小国ネパールネパールは北を中国、南をインドに挟まれている小国です。 ヒマラヤの国というイメージのとおり、8,000m級の山をいくつも抱えています。 人口約3000万人、面積は日本の1/3ほどです。 山が多い地形のため、農業従事者が人口の6割以上を占めるにも関わら

          発展が許されない国

          【レガシー産業】アグリテック系SaaSのCSで学んだこと

          先月末でこれまで勤めていた農業分野のシステム会社(カッコよく言うとアグリテック系SaaS企業)を退社し転職をしました。 そこで、これまでの経験などから得られたことを備忘録として書きます。 広すぎる農業界と業界の人でも知らないそれぞれの現場農業界というのは広義で言うと「生産・流通・販売とそれを取り巻く諸々」と定義することができます。 しかし、それだけ広い業界のことを全て細かく知っている人なんていません。 私自身、大学での座学に始まり、生産現場、販売(小売)などでこれまで10

          【レガシー産業】アグリテック系SaaSのCSで学んだこと

          【争いの原因にもなる】土壌についてざっくりまとめてみた

          様々な要素が複雑に絡み合う農業にとって特に欠かせない要素である「土・土壌」についてまとめてみました。 先にまとめです。 土づくりは農業の必須事項農業において欠かせない要素の1つ 農作物は複数の要素が複雑に重なり合って完成するものなので、品種、栽培方法、栽培条件などどれも重要な要素なのですが、その中でも良い土壌を作ること=「土づくり」は特に重要な要素として農家さんの中で認識されています。 作物によって理想の土の状態は異なりますが、良い土とは水捌けがよく、かつ保水力・保肥

          【争いの原因にもなる】土壌についてざっくりまとめてみた