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「悪いものは規制したほうがいい」と思う人へ。ミーゼス「自由への決断」(その2)

こんにちは!藤丸です。

前回に続き、私の独断と偏見によるミーゼス「自由への決断」の面白かった部分を、自分の考えと混ぜて紹介する回の2回目です。
今回も気軽に読んでいただけると嬉しいです~😊

2,「悪いものは規制したほうがいい」と思う人へ


突然ですが、タバコが苦手な人はいますか?

私は大人になってから気管支喘息になってしまったので、
タバコの臭いや煙は、私には苦手なだけでなく発作を誘発する有害なものです。

でも
「タバコは有害だから、もし増税が必要なら他の税ではなくタバコ税を増税すべき」
とは思いません。
また、
「過度な喫煙によって肺がんがおこりやすい。
身体を損なわないように、タバコを規制して国民を保護すべき」
とも思いません。


「いやいや、身体に悪いものから国民を保護するのは良いことではないか?」
と疑問に思う方も多いかもしれません。


でも、次のような主張を聞くとどう思いますか?

「人間は身体だけでなく、精神も大事だ。
人の精神は、悪書を読み、悪い映画を見ることで害を受ける。
このような精神被害から国民を保護するのは政府の役割である。
悪書や悪い映画は規制するべきだ」



それはさすがにやりすぎだ、と思う人がほとんどだと思います。


でも、
身体に害があるから国民を保護するために規制をする」ことと
精神に害があるから国民を保護するために規制をする」ことの、
本質的な違いはなんでしょうか?

前者を認めるなら、後者に反論することはなかなか難しいと思います。



いやいや、とりあえずは「身体に害があるものは規制すべき」と思う人もいるかもしれません。


では、「身体に害のあるもの」とは何でしょうか?
麻薬?タバコ?酒?
なるほど、害がありそうです。


砂糖はどうですか?
現代人のメタボリックシンドロームは深刻な問題ですし、糖尿病もあります。
砂糖は過剰摂取を避け適度な量であれば問題ないので、政府が適量の基準を決めるべきでしょうか?

過剰摂取が体に悪いという意味では、塩も醤油も脂分も、ほとんどの食べ物・飲み物がそうです。
それらすべての摂取量を政府が規制すべきでしょうか?


あまりにも極端な話だ、と思われるかもしれません。

でも、どこまでを政府が規制し、どこからを規制しないかの線引きは、
実際はとても曖昧なものです。


「国民を悪いものから保護する」という名目を掲げれば、
政府が「良い・悪い」を決め、
政府に都合の良い規制を国民に押し付けることができるのです。
これはとても怖い社会です。


これは最終的には、国民の食べ物・飲み物から娯楽品に至るまで、
すべてを政府が検閲し統制する社会と同じです。


優秀で善良な政治家や官僚の「心からの善意」によるものであっても、
それが最終的に行きつく先はディストピアでしかないのです。




今日の話はこれで終わりです。少しでも興味を持っていただければ、
ミーゼス「自由への決断」P17~をぜひ読んでみてくださいね😊

「自由への決断」の無料PDFはこちら↓です。
http://www.catallaxy.jp/files/EconomicPolicy.pdf



~おまけ~
この「自由への決断」というタイトルのエピソードが、本の冒頭に載っているので紹介します。
元の題名をそのまま訳すると
「経済政策:今日と明日を思索するミーゼスの経済学」らしいです。
でもミーゼスは「Economic Policy(経済政策)という言葉は、政府による経済への干渉政策を意味することが多いからあまり好きではない」と言っていたそうです。
ですので、日本語訳にするにあたって、訳者の村田稔雄先生が、
自由主義の経済学者・山本勝市博士に相談したところ、
山本勝市博士から「自由への決断」にしたら良いと言われたそうです。
力強く「自由」への意思が感じられて、とても良い書名だと思います😊
山本勝市博士は本の冒頭に「推薦のことば」も書かれているので、こちらもぜひ読んでみてください。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も、ミーゼス「自由への決断」の紹介・感想の続きを書こうと思います。
「自由主義を学ぶ会」のYouTubeも見ていただけると嬉しいです。
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                              (藤丸)





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