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人事評価について思うこと~第4回 成川さんへの質問会~

2023年12月に(当時)社長の成川さんへの「何でも質問会」と題して、
アンバサダーより質問を投げかけ、ご回答(語って)いただきました。

全5回に分けて、その一部をお伝えしています。
第4回のテーマは、「人事評価について思うこと」です。

▼各回のテーマはこちら
法定の一歩先を行く障害者雇用やDEIのポイント
DEIの施策を始めるときに経営層にアプローチする方法
会社が人を引き付けるには~吸引力の正体~
・人事評価について思うこと(本記事)
社員が生き生きと働くために気を付けていること

(執筆:JPTアンバサダー トミー)

ー今までの色々なお話(第1回2回3回の記事ご参照)を聞いていて、人事のお仕事に興味が湧いてきています。


人事はすごく楽しいポジションだと思います。
財務と人事、CFOとCHROってすごく重要なポジションで、お金と人っていうのはどの会社でも必要なことだと思うので、その一翼を担えると思うと、すごくやりがいのある仕事ですよね。

ー人事といっても色々なお仕事があると思います。各種制度の整備・運用、研修・採用担当、行政に提出する証明書等の発行、人員配置、社員評価など、公平さとバランス感覚が必要そうです。


社員評価に関してですが、僕は、評価される立場でもあり、評価をする立場でもあるんですけど、自分なりに持論があります。正しく評価するのは無理という大前提の基で、じゃあどういう制度として運用すべきかという話なんですけど。

今よくやられているのは、評価シートのようなものを作って、いろんな項目に分かれていて、それを埋めるような形で何段階でやっていけば自ずとその人の評価出てくるというやり方ですけど、それは人は人を正しく評価できるという前提の基でやられているじゃないですか。

でも僕は、使う時間のわりに本質的なところがあまり得られないという風に諦めモードで、JPTはそういう評価シートがないんです。項目は、もう、一本。1・2・3・4・5・6の6段階評価で、「今年度の評価は5」みたいなそんな感じです。

ー評価項目や評価基準はないんですか?


ないです。何故5なのかはもちろん言いますよ。言いますけど、事前にこの仕事がこれだけ出来たら5、これだけ出来たら4というのはないんですよ。

ーそれで社員の皆さんは納得されますか?


そこなんです。そこなんですよ。僕が本質とさっき言ったのは、納得なんですよ。
納得を作るためだったら、ああいう評価シートを細かくして、年に1回ギチギチに埋めるみたいな、やり方ではないと思っているんですよね。納得が一番なんで。

ここを作るために、どんな道を通るのか、オペレーションをどうするのかというのは、無数にあるわけですよ。納得感のある評価。

そこで大事になるのは日頃のコミュニケーション。何当たり前のことを言っているんだという話なんですけど。
うちは、お互いに業務のゴールのイメージのすり合わせはしますが、四半期の目標とかもないんですよ。もう毎週個人面談をして、「今週どうだった?」と聞いて、「こうこうこうです」と。「じゃあ来週はこうだね」みたいなのを積み上げていって、「出来た・出来なかった」、「すごい・すごくない」、「ここダメだね・ここいいね」というのを毎週とか2週間に1回積み上げていって、最終的にどこまでいったかというので評価を決めればいいんじゃないと思うんです。

だから、54週(1年間)の週次面談の積み上げが評価になるから、「ああ今年なんか一杯面談したけど、沢山いいねって褒めてもらったから、5かな」「はい、5です」って。
それでいい。納得が一番大事なんで。

じゃあこれが100人の会社になったらとか、年齢的なグラデーションが沢山増えたらとか、まあ色々ありますけど、本質を見失ってはならないと思っていて、本質はお互いの納得かなと思っています。たくさん項目を作ってそれを埋めるのにたくさん時間をかけて、本当にそれでお互い納得していますかということを聞きたいわけですよ。

ー項目が沢山あって、評価する側も「これだけチェックしたし、一応説明したし」で、その評価者は「よしやったぞ」と思っているのかもしれないですけれど、まさに本当のコミュニケーションが足りていないので、評価が良かったとしても納得できないんですよ。
この評価の数字に値することを説明する言葉が欲しいですよね。どこが具体的に良かったとか、これからどうしてほしいとか、それがあるだけで次が見えてくるのに。
そこが疎かになっていると、年に1回2回のコミュニケーションでは、全然納得感が生まれない。
それで評価が悪いとなると、それはもうどんどん離職に近づいていくステージを駆け上っている気がしますね。


そうなんですよね。だからマネジャーとか管理職は、この自分たちのチームはどうあるべきかっていうのをやっぱり持ち続けて、その判断軸でそれぞれの個人が、どんなパフォーマンス・成果を出すべきかというのを考えて、それに向けて週1回コミュニケーションを取りながら、アウトプットを見ながら導いていってあげると。
でその障壁となるものを取り除いてあげる。そしたらすごい成果が出ました!6段階中6段ですよ。それをやらないとダメなんですよ。

ー成川さん、うちの会社の管理職に講義していただきたいぐらいです。人事のリーダーでも全然コミュニケーションが足りていなくて。


いやそうなんですよ。人事でこれだったら、会社全体としてどうなんだという話ですよね。

ーnoteの記事で、成川さんが社長の仕事は面談とかコミュニケーションに絞ってもいいと思っているというのを読んだのですが。


そこに詰まっていますから。

ー上に立つ方には、そうやって方針を出していただくことも必要ですし、下にいる方とのコミュニケーションを大事にしていただきたいですね。


ー今お話いただいたように、正しく人を評価できないと成川さんが思われた理由や出来事があれば教えてください。


そもそも、僕自身が正しく評価されていないとずっと思っています。
例えば、障害者採用の担当者を評価するにあたり、前年度は応募者1000人集めました、そのうちから一次面接に行った人が100人いました、合格して最終面接に行った人が10人いて、最終的に2人に内定を出して、1人採用しました。という状態だったとします。

一般的な評価は、「昨年起きたことは再現性があって、目標を達成するためにはどうしたら良いか」を前提にしてKPIが決まる。
会社の仕組みというのはそういうもので、2人採用したいから2000人応募者を集めてきましょう、そのためには、、、という話になる。

でも僕は、障害者を何人採用できるかというゲームではなくて、「我が社の障害者雇用はそもそもどうあるべきか」という抽象度の高い問いに挑戦したい。その方が自分は楽しいし、それで結果が出たら会社にとってももちろん良いはずじゃないですか。

でもそんな人をさっき言ったような既存の枠組みで評価なんて出来ないから
適当に「ちょっと上」みたいなことをやられると、やる気なくなっちゃいますよね。じゃあ違う会社でやります、独立します、ってなるのは自然なことだと思います。

それは会社にとってメリットあるんですかね。そんなことじゃなくて、上司がコミュニケーションを取りながら、「僕は今までの手法ではなくて、こんな新しい手法を考えていて、こうすれば実現できると思うんですよね」と部下が言うことに対して、「やるために何が必要で何が障壁で、、」というのを週次面談でやってくれれば、新しい道が開けていく

だから僕は一律の評価指標なんて要らないと、まあ諦めたというか、そういもんじゃないでしょと。それを回すことに固執してしまって大事なものを見失ってしまっている気がするんですよね。
「良い評価を取るためにはどうしたら良いですか」みたいな、上からトップダウンで与えられた目標をいかに上手くやるかみたいな、そういう勝負になってきて、そこに社会としての正しさとか、この会社の大義はあるのか、と。
だいぶ偉そうなことを言っていますけど、そういう仕事を僕はしたい。評価シートに書かれていないことをやりたい。そこに答えはないと思っているので。


現在、人事評価のために多く使われている評価シートですが、その一律の評価指標では、本質的なものが得られない。
その本質とは、会社と社員のお互いの納得感で、それを得るためには日頃のコミュニケーションの積み重ねが非常に重要。

今回のお話は、非常に腑に落ちるものでした。
(私の場合の話ですが)目標管理シートで、目標を設定してタスクを洗い出せたのは良いものの、期中に果たして自分の進んでいる方向が正しいのか分からず、迷子のような感覚を抱いていたのを思い出しました。それは日頃のコミュニケーションが足りていなかったからだと思います。
リモートワークが多くなり、益々コミュニケーションの大切さを感じていました。
期中に定期的に、「あの場面のあれが良かった」「もっとこうした方が良かった」などを示してもらえれば、自信を持って進めることができたり、軌道修正することが可能だったと思います。併せて、「こうした方がよい」「こうだから、こうして欲しい」などの自分からの建設的な提案も必要だったと感じます。

「管理職が、自分たちのチームはどうあるべきかという判断軸で、それぞれの個人が、どんなパフォーマンス・成果を出すべきかというのを考えて、それを週1回コミュニケーションを取りながら、アウトプットを見ながら導いていってあげる。」というのも、管理職の皆さんにぜひ取り組んでいただきたい姿勢です。

最終回の次回は、「社員が生き生きと働くために気を付けていること」です。
お楽しみに!


#人事評価 #管理職の役割 #人事の仕事  


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