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時は金なりクリームソーダ

暇なので三軒茶屋のセブンという喫茶店に行った。やりたいことはなかったが、むしろやりたいことがないから喫茶店に行った。

レトロな雰囲気は私にはとてもお洒落に感じた。
なので、お洒落な雰囲気に合わせて私もお洒落な態度で椅子に座った。ズボンはスウェットだった。

メニューを開くと最初のページに、電子機器を使用して長時間居座わらないようにとの注意書きがあった。私はクリームソーダを頼み、なるべくスマホを触らないようにしようと思った。

しかし、スマホがないとやることがない。手持ち無沙汰だからといって、あまり周りの人を観察するのも不快な気持ちにさせてしまうかもしれない、と思いカバンから文庫本を取り出した。読む気はなかったが、落ち着いてる様を演出するために一応ページをめくった。

頭の中ではぼんやりと時間について考えていた。喫茶店に入ってから、やけに緩やかな時間だと感じていた。普段休みで家にいる時はYouTubeばかり見ている。何が面白いのか分からないまま、スキップしながら10分の動画を5分で見たり、始まった瞬間結末を見たり、次へ次へ動画を見て気づいたら夜になっている。

こういう時間の使い方をすると動画の長さと実際の時間が繋がらなくて、YouTubeを見ていると時間の長さを体感できないような気がする。だから、喫茶店で1時間ほど過ごした時、暇に感じながらも「ああ、1時間ってこれくらいの長さだったな」と思った。家にいる私にとって、時間は過ぎているものだったが、この店では時間が流れていた。

残ったクリームソーダを、音が立たないように慎重にストローで飲み干した。甘い。アイスが溶けきる前に飲むべきだった。

店を後にすると、何をした訳でもないが、妙に落ち着いた気分になって、心が満たされた気がした。こういう時間の使い方が一番の休息なのかもしれない。爽やかな気持ちで明日を迎えられそうだ。

帰って、深夜2時までYouTubeを見た。
経験からすら学べない私は、クリームソーダだけでなく、時間も溶かしてしまった。
人生はそんなものだ。眠い目を擦りながら、今度はコーヒーフロートを飲みたいと思った。

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