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甚兵衛さんを迎えるまで

ウチの甚兵衛さんは元保護犬です。

2019年12月1日に、秋田県動物愛護センター「ワンニャピアあきた」からやってきました。この施設に来る前は、世界自然遺産 白神山地の麓にある藤里町でフリーランス生活、ちょっと変わったおじいさんからゴハンも貰って暮らしていたようです。

甚兵衛さんと初めて会ったのは2019年11月の終わりの土曜日。ワンニャピアの犬舎を覗くと、人が来る通路から精一杯離れたケージの一番奥に、丸まって動かない薄茶色の雑種犬がいました。

名札に書かれた名前はリク。推定2~5歳。オス。

しばらく呼びかけてみたものの、丸まったままこちらも見ず、耳だけを動かして様子を伺い「ニンゲンに興味はあるけど怖い」といった雰囲気。怖がってはいるものの無駄吠えはありません。帰り際、私達が柵から十分に離れたのを見極めて柵際まで見送りに来ていました。

翌週の土曜、今度はリクがまだ居たら、近くで会わせてもらおうと再びワンニャピアに出かけました。犬は大抵1週間以内で譲渡されることが多く、なかなかタイミングが合わずにお見合いまで出来たことはなかったのですが、リクはまた犬舎の隅で丸くなっていました。

職員の方に「リクを近くで見たいのですが……」と声をかけた、マッチング用の部屋で対面できました。若い女性の職員さんが連れてきてくれたのですが、リクは緊張でガチガチ。リード一の長さ一杯に離れて、見知らぬニンゲンから1mmでも遠くに離れたい気持ちが伝わってきます。男性の職員さんも入ってくると緊張は極限状態。「触れ合って相性はどう?」なんて雰囲気は全くありません。

あまりにガチガチなので10分ほどでリクは退場。その後、「参考までに」といった感じで譲渡の条件を聞いてみたのですが、

・今日にでも連れて帰れます

・いきなり譲渡が不安であればトライアルも可能

・マイクロチップ埋め込み費用が必要

・譲渡当日は注意事項の説明があり契約書等の記入が必要

・本譲渡決定後は畜犬登録、予防接種、去勢は必須

譲渡の条件はざっとこんな所でした。飼育環境で聞かれたのは室内飼育か?住居は持ち家?賃貸?くらいでWEB見た民間の譲渡団体の厳しいヒアリングを想定していたので拍子抜けした感じでした。ただ、リクについては注意事項がいくつかありました。

・警戒心が強い。

・長期間懐かない可能性が高いので長い目で見てほしい。

・人が怖い。特に男性は苦手。

・子供がいてかまいすぎるとストレスが溜まるかも。

・かまわれなれていないので、人が居ない時間があったほうが良いかもしれない。

・トイレは外。屋内では出来ない。

・さんぽは好き。暴れたり、異常な興奮状態にはならない。

・犬の飼育経験があった方が望ましい。

注意事項を聞いている時点で、私もカミさんもリクをウチに迎える気になっていました。おじさんおばさんの二人暮らしで子供なし。共働きなので適度な留守番あり。リク一人の時間もある。元々室内飼育希望。おじさんおばさんなのであまり元気すぎると体力的に厳しいので成犬希望。Win-Winです。

といっても、諸々準備が必要なのでお迎えは翌日の日曜日にしてもらい、その足でショッピングモールと家の近所のホームセンターでお迎えの準備を整えました。連れて帰るためのクレート、部屋に置くケージ、水入れ、エサ入れ、首輪、リード、エサ、おやつ。ゼロからのスタートでしたが、カミさんが飼育経験者なので準備はあまり混乱なく終えることが出来ました。

翌日はカミさんが仕事だったので私ひとりでお迎えに向かいました。職員さんと獣医さん立ち会いのもと、写真撮影、トライアルの契約書とトライアルから譲渡に移行する際の書類の説明、マイクロチップ埋め込み、譲渡後の各種手続き、普段食べているフードやおやつの好み……。1時間以上はかかった気がします。

最後にリクが一番信頼している職員さんに、持参した首輪とリードを渡して付けて貰い、クレートに誘導してもらいました。職員さんにお礼を言ってリクが入っているクレートを車に載せ、走り始めてからはじめて

「甚兵衛さん、これからよろしく」

と呼びかけ、リクは甚兵衛さんになりました。

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