「誰かが自分を見てくれている」というのは、けっこう心の栄養になっていると思う。

わたしはその昔「自分なんて誰からも必要とされていない」と思い込んでいた時期があった。8年前にこんなブログを書いているから、それよりも前のことだ。

というよりそもそも、なぜだか小学生の頃からずっと「独りぼっちだ」という恐怖感にも似た感情を抱いていた。母子家庭ゆえに家にひとりで居ることが多かったのもあるかもしれない。「いましんじゃっても、だれにもきづいてもらえないし、だれもないてくれないかも」なんてことを本気で思ってたりもした（今思えばそんなはずないのだけれど）。

その思い込みは20代前半までずっと続いたけれど、いつしかその孤独感が薄まっていったのは、自分を活かして働けるようになったことと、パートナーを得たことが大きい（とはいえ結婚当初はまだ孤独感満載だったので、結婚が孤独感への特効薬ではないことは添えておきたい）。

こんなことを考えたのは、少し前に母から「見知らぬ土地でも、気にかけてくれる人がいるっていうのは有難いことだよね」と言われたからだ。

2ヶ月前に伊豆高原へと越してきたのだけど、本当に縁もゆかりもない土地で、当たり前だけれど知り合いなんて一人もいない。唯一の知り合いは、店舗と住居探しの面倒を見てくれた不動産屋さんだけである。

この不動産屋さんがとても優しい人で、何もわからぬわたし達を頻繁に気にかけてくれている。不動産屋という枠を超えて、時たま店舗の様子を見にきてはDIYの相談に乗ってくれたり、工具を貸してくれたり、「店の雰囲気に合うと思って」と素敵なキッチン道具を頂いたり（！）、美味しいご飯屋さんの情報をくれたりするのである。大きな用事がなくてもふらりと立ち寄って、「何か心配事があれば何でも言ってください」と言い残していく。

そんな話を母にしたら、「気にかけてくれる人がいるっていうのは有難いことだよね」と。たしかにそうなのかもな、なんて軽く受け取っていたのだけれど、先日なんと夢に不動産屋さんが出てきて（！）「アメリカに行くことにしたんです、さようなら！」と良い笑顔で去って行くシーンを見て、ものすごく悲しい気持ちで目覚めたことがあった。その時に改めて「ああ、わたしはこの方の存在が心の支えになっているのだ」と強く実感したのだった。

誰かが気にかけてくれることって、思っている以上に、大きな心の支えになっているのだ。

「誰かが自分を見てくれている」と実感するためには、やっぱりまず自分から発信する必要があるという持論は8年前から変わらない。現実でもインターネット上でも、まずは「自分」を外に出さないことには人目に触れづらい。もうちょっと言えば、自分をひらくこと。自己開示をすること。そこが「自分ではない誰か」との関係のスタートラインになる。

「あの人はこんな想いを抱いているんだ」「こういうことをやりたいと思ってるんだ」「おもしろい人だなあ」と思うからこそ、誰かを応援したり、気にかけたり推したりしたくなると思う。わたしの中の推しだって、個人やアーティストやブランドなど対象にかかわらず、その対象の発信に共感して、応援したいと思ったものばかり。共感のきっかけは、やはり相手の自己開示だ。

話は戻るけれど、不動産屋さんだってきっと家を買ってくれた人すべてに手厚いアフターフォローをしているわけではないだろう。驚くほど無知なわたし達を心配する親心のようなものかもしれないし、過去に副業で飲食店を経営したこともあるそうで、その経験からカフェ開業を目指すわたし達を応援してくれているのかもしれない。何にせよきっと、わたし達の「何か」を受け取って、気にかけてくれているのだと思う。

当然ながら、じぶんジカンのユーザーさん達やこれを読んでくださっている方々、特に長らく見守ってくれている人にも同じことが言える。じぶんジカンの成り立ちや、大切にしたいもの、ひょっとしたらわたしの個人的な感情なども含めて、何らかの発信を受け取って、気にかけてくれているんじゃないだろうか。

だからわたしにできることは、想いを言葉にすること。現実世界でも、インターネットでも。誰かに見守ってもらえることを心の栄養にして。その栄養を糧に、わたしも誰かを見守っていくこと。そうして循環をつくることなのかな、と思ったり。

おわり

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