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自分軸としてのテツガク〜自分軸で生きるデメリット〜

「自分軸を持って生きなきゃ」

「他人軸で生きるのは苦しいよ」


「自分軸」「他人軸」という言葉を
よく目にするようになりました。

Schooでも記事にされるほどですので、
かなり注目される考え方となっているようです。

キャリアもライフスタイルも多様化し、
「これが正しい人生だ」という正解もない。

だからこそ、多くの人が人生に迷っています。

「自分軸」で生きるという考え方は、
コロナ以降の変化、キャリアの多様化が著しい
現代だからこそ注目されるのかもしれません。


確かに、
「自分軸」で生きるということは魅力的です。
「自分軸」「他人軸」という言葉は
とてもキャッチーです。

しかし、

「自分軸」は万能ですか?

なんとなくのイメージで
「自分軸」を使っていませんか?

流行り言葉に踊らされていませんか?

なんて書くと、
ファイティングポーズに見えますが、

決して
「自分軸」を否定したいのではありません。

よく聞く言葉こそ、一度立ち止まって
その意味を腑に落ちるようにしてみた方がよい
のです。


この記事では、
「自分軸」という言葉の意味、
そのメリット、デメリットを確認します。

最後に、
私が使うテツガクという言葉との
関係をご紹介いたします。



「自分軸」とは何か

では、
まず「自分軸」とは
どういう意味でしょうか。

「軸」という言葉が
とてもイメージをしやすいので、
ひと言聞くだけで分かるような気がしますね。

地球が回転するときには、
を中心に回ります。

物の中心を通る
一本のまっすぐな線

そんなイメージでしょうか。

「自分軸」と調べると、
こんな説明が見つかりました。

他人の意見に左右されず、「自分がどうしたいか、どうありたいのか」を基準に行動すること

みんチャレブログ

自分がどう生きたいのか・何を大切にしたいのかといった価値観やビジョン、その先にある目的

Schooまとめ記事

自分の「軸」ですから、
自分の一番真ん中にある
一貫した考え方や行動のこと

それが、
価値観やビジョンや目的、
あるいは行動すること

と表現されています。

確かに、この軸がないと、
ふらふらと一貫性がない言動をしたり、
誰かに従ったりしそうです。

「自分軸」は、ほぼ必ず
「他人軸」との対比で書かれます。

「他人軸」は、

自分の考えややりたいことよりも、他人の意見を優先して行動すること

みんチャレブログ

周囲の人がどうしたいか・どう考えるかを基準に判断・行動すること

Schooまとめ記事

と表現されています。

「他人軸」とは、自分ではなく他者に軸がある。

つまり、
他人の意見や周囲の評価を基準として、
自分の行動を決めている状態
です。

株式会社ミツカリの調査では、
若い人ほど、他人の評価を気にする傾向は強い
とのことです。

株式会社ミツカリ「年齢別の性格・価値観分析」より

これは、想像しやすいですね。
年齢を重ねるごとにいろんな経験が増え、
自分の価値観が定まってくる。

自分がどうしたいか、どう生きたいか
そうした考え、価値観のことが、
「自分軸」と呼ばれています。


「自分軸」で生きることのメリット


「自分軸」で生きることのメリットは、
さまざまなもの挙げられています。

例えば以下のようなものです。

・自分らしく楽しい日々を過ごすことができるようになる
・他人に依存せず自立できるようになる
・自己肯定感が高まる
・余計なストレスを低減できる
・他人を尊重できるようになる
・夢や目標を叶えやすくなる
・意思決定する時の判断軸が明確になる
・人生の幸福感が高まる

いいことづくめのようですね。

このうち、
調査結果が見つかるものは、
最後の「人生の幸福感が高まる」です。

独立行政法人経済産業研究所の調査では、
「学歴」「世帯年収額」「自己決定指標」のうち、

主観的幸福感(自分が幸福と思うかどうか)に
一番大きな影響を与える
のが、「自己決定指標」
つまり、自分で人生の選択をすること

だと報告しています。

他人からの評価は変わりやすいですし、
自分以外に、自分の人生の責任を
とってくれる人はいません。

だからこそ、他人の評価や意見に依存せずに、
「自分」に軸を持って生きましょう、
というメッセージが響くのですね。


「自分軸」で生きることのデメリット

ここではあえて、
「自分軸」のデメリット
指摘してみようと思います。

もちろん、
「自分軸」という言葉を否定するのでも、
その言葉を使う方を否定するのでもありません。

流行り言葉だからこそ、
「なんとなく使う」ことをしないために、
検討してみましょう。

(流行り言葉を鵜呑みにするのは、
 それこそ「軸」がないですね。)


調べてみると、
「自分軸」で生きることのデメリットは、
あまり挙げられていませんでした。

それも当然で、
「自分軸」を肯定する立場から
書かれた記事がほとんど
だからです。

そんな中、
分析的にデメリットも書いている記事を見ると、
以下のようなデメリットが書かれていました。

・周りの人や環境を考慮しない時がある
・他人や状況に合わせず行動してしまう場合がある
・孤立してしまう可能性がある
・自分に都合の良い情報や意見に偏ってしまい、
 客観的な判断ができなくなってしまう
・自分勝手になってしまう

これは、
最後の「自分勝手」という言葉に
集約されている
ように思います。

「他人の意見」よりも、
「自分の考えややりたいこと」を優先する。

これは、個人としてとても魅力的ですが、

「社会の中で生きるのに
 自分のやりたいことだけをやるのは違う」
「独りよがりの考え方しかできなくなる」

そうした声も納得がいきます。

多くの方は、
会社などの組織の中で働いています。

その中で、「自分のやりたいこと」を
基準にしている人は、
煙たがられてしまうかもしれません。

もちろん、
「自分軸」=「自分勝手」ではありません。

しかし、
「自分勝手」につながりやすい考え方である
ということは、忘れずにいないいけないでしょう。


私は、こうした問題の根本は、
「自分軸」と「他人軸」という二項対立
にあると考えています。

私たちは、
「白か黒か」「敵か味方か」という
この図式が大好きです。

何よりもわかりやすい。

しかし、
このわかりやすさは、
危険でもあります。

あらゆる行動を
「自分軸」「他人軸」のどちらかだけ
で考えることは危険です。

「自分軸」じゃないものを
否定的に見てしまう可能性が
生まれるからです。

一方で、この考え方は、
対症療法としてとても効果があると思います。

つまり、

「これまで親の言うことを聞いて生きてきたけど、
 本当に自分が何をしたいかわからない」

「周りの人に合わせて生きてきたけど、
 何か違うと感じ始めた」

このように
「他の誰かの価値観や意見」に依存して
生きてきた人
に対して、

「それは他人軸ですよ、
 自分軸を取り戻しましょう」
という働きかけで、
「他の誰かの価値観」から離れる時には
効果を発揮します。


しかし、一つ疑問です。

そんなに「自分軸」「他人軸」
って割り切れるものでしょうか?

「これは他人軸だからやりたくない」
「これは自分軸だからやるべきだ」

というように、
きっぱり分けられるものばかりではありません。

そこで私は、
「自分軸」という言葉にとても魅力を感じつつも、
「テツガク」という言葉を使っています。

そのテツガクについて、
ご紹介いたします。


テツガクとは何か

テツガクとは、
シンプルに言うと
人生で大切にしたいこと」です。

もう少し詳しく説明すると、
「どんな人生がよいか」についての
判断基準、価値基準
がテツガクです。

例えば、
ある人のテツガクが、
「自由に生きる」だとします。

その人は、
「自由な人生」をよいと思っていて、
「自由に生きる」ことが大切なのです。

その人が何かを行動する時に、
「自由に生きる」というテツガクが
基準となって判断します。

短期的にも長期的にも
「自由に生きる」につながらない行動は
やらないでしょう。

このように
「人生で大切にしたいこと」=テツガクは、
あなたの人生の指針として機能します。


基本的なところは、
「自分軸」と共通するかと思います。

「自分軸」と違うのは、
「自分のテツガク」v.s.「他人のテツガク」
という対立というよりも、

「自分のテツガク」、「Aさんのテツガク」、
「Bさんのテツガク」・・・

という風に、
一人ひとりにテツガクがあることが
意識しやすい点にあります。

例えば、
会社で働く時には、
企業理念など、その会社が大切にしたいこと
つまり、テツガクがあります。

その会社のテツガクと自分のテツガクを
比べてみて、共感できる部分もあるし、
できない部分もあるでしょう。

「自分軸」と「会社軸」というと、
どうしても「会社軸(=他人軸)」が
悪者に見えてしまうような気がします。
(もちろん個人差があると思います)

しかし、

会社には会社のテツガクがあって、
私には私のテツガクがある。

そう考えてみれば、
会社から命令された業務であっても、
自分のテツガクにおける意味を見つけて、
会社のために働くことがあっても良い。

そう思えてきます。

そもそも、会社のテツガクに
共感する部分があるから
入社を希望した方も多いでしょう。

「自分軸」「他人軸」に比べれば分かりづらいですが、
「テツガク」という視点があることは、
物事をより深く見ることができるようになります。


もう一つの点として、
「自分軸」の表現方法は多様です。
どんなものが「自分軸」なのか掴みづらくもあります。

一方、テツガクは
「どのように、どうする」への答えとして
書いてもらうようにしています。

「自由に、生きる」
「愛情深く、接する」
「誠実に、働く」

といった具合です。

「どのように」の部分に、
あなたの価値基準が表れます。

あなたがどんな人生を
「よい」と思っているかが、
この部分に表現されます。

「どうする」の部分が行動です。
あなたが選択した行動によって
あなたの人生がつくられます。

だからこそ、
「どのように、どうする」の形で
言葉にすることが必要
です。


以上の点から、
私は「自分軸」という言葉よりも
「テツガク」を好んで使っています。


もちろんこれは、
私の言葉の感覚の問題です。

「自分軸」と「テツガク」は、
ほぼ同じものと見ることもできます。

だからこそ、タイトルが
「自分軸としてのテツガク」なのです。

これをお読みの方が、
しっくりくる言葉を選んでいただくのが、
一番よいと思います。

もし、テツガクを
見つけてみたい、考えてみたいという方は、
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