見出し画像

『天界(あまさか)にてー招かれざる僕たちの愛と戦いの日々』(ライトノベルプロット)

ライトノベル用プロットです。
まだ練るべき要素、たくさんあるのですが、ひとまずここに置いておきます。
(今後、磨きます✨)

ログライン:
天界(あまさか)の集落・九烏(くう)地区で幼少期を共に過ごした3人。
当時の奇妙な出来事の謎を究明すべく、立入禁止の現在の九烏へ。
三角関係が複雑化する中で、妖怪との戦いが始まる!
果たして誰が敵で、誰が味方なのか。

主な登場人物:

天界(あまさか)のイメージ:

東洋経済ONLINE 2014/08/19号より


「横須賀ぷらぷら通信」より


プロット:

第1章 天界(あまさか)の‘あの子’

浦賀道(うらがみち)。
江戸時代に造られた幹線道路の一つで、江戸から浦賀へと山の尾根づたいに開発された道。黒船来航時、浦賀奉行所と江戸の間を飛脚や沿岸防備の武士が頻繁に往来した道であり、黒船を一目見ようと物見高い人々も押し掛けたと言われる道。
その道の周りは開発され、決して足場がいいとは言えない形状、つまり崖上に住宅が多くつくられた。細い石段、急坂、人一人がやっと通れるような道幅。江戸時代から手が入っていないであろう石段もあり、苔がつき、ひび割れ、雨や雪など悪天候時には、遠くの舗装路を使う住民たちも多い。
こういった崖上の集落は「天界(あまさか)」と呼ばれている。
ここ、横須賀市にも数多くの天界が現存しているが、その多くは空き家。
なかば放棄されたかたちだ。
途中でバイクを止め、徒歩で階段を登る宅配便や郵便配達員の姿がときおり見られる。
生きているのか、死んでいるのか。
人々から忘れられ、しかし確かに呼吸し続ける天界の集落。

×  ×   ×

東京、渋谷。

鷹場莉子(たかば・りこ、27)、デザイン会社に勤務。前から来る男性とぶつかる。
「莉子……?」
「え、…あ、蓮!」
それは狼森蓮(おいのもり・れん、27)、莉子が小学校まで近所に住んでいて、よく一緒に遊んだ二人だった。
蓮も莉子と同じくオフィスは渋谷にあった。
偶然に会えたのを喜び、食事の約束をする。
蓮は小さい頃からいつでも莉子のことを大事にしてくれていた。
莉子は蓮といるとお姫様のような気分になれたことを覚えていた。
お互いつきあっている人がいないこともわかり、少しずつ、気持ちを高めていく二人。
同窓会の知らせが届き、蓮は行こうと莉子を促すが、あまり気乗りしない様子。「私、当時、見えてたんだ、あの子のこと」と莉子が言う。
「そうだったんだね。実は、僕も…」


第2章 九烏、再び

神奈川・小田原の漁港。
漁師の牛神学司(うしがみ・がくじ、27)が漁を終え、海から戻ってきた。
両親が離婚し、父親に引き取られ同じ漁師の道へ。
無口で誠実と評判だが、自分の居場所が見つからない感あり。
少し前、たまたま見ていたSNSで莉子を見つけ、大好きだった記憶が蘇る。
小学校時代の楽しい思い出は毎日の支えになっていた。
そしてSNSで莉子が「今回の同窓会、行ってみようかな」とつぶやいていたのを見て思った。
「今回は、出てみよう」

×  ×   ×

同窓会当日。
学司は莉子をすぐに見つけた。だが、その横に蓮の姿を認めた。
「え、二人はつきあってるのか…?」とひるんだが、莉子も学司を見つけて駆け寄ってきた。
「学司? 学司だよね! わー懐かしい!」
実は莉子は、当時、学司に恋していたのだ。

×  ×   ×

同窓会からの帰り道、九烏地区の前を通りがかった3人。
「実は見えてた。言えなかった」と告白する学司。
当時、時々6年生の教室に出没する女の子がいた。
窓際の後ろの本棚の脇にちょこんと座って、おとなしくしていた女の子。
祐太が「ね、女の子がいる」と言ったが、みんなに笑われ、いじめられ、不登校になってしまった。
下校時、九烏地区へ帰る時、振り返ると女の子がいたのを3人とも覚えていた。
女の子が曲がったいった先は廃墟だった。
3人、今まさにその階段の前に立っていた。
「じゃ、行ってみる?九烏へ」と莉子。
「え、やばくないか?」と蓮。
莉子、「よし!いざ!」。
「おお」と乗り気の学司。
莉子と学司は、九烏地区へとつながる古ぼけた石段を恐る恐る登り始めた。
「ちょ、ちょっと待って。じゃ、僕も」と蓮。


第3章 本当の姿

天候が荒れ模様になり、階段を見上げると、カラスがこちらを見下ろしている。
仕切り直すことにした3人。

×  ×   ×

小学校の頃、何かとカラスを見かけたことを思い出した莉子。
このエリアは九烏地区。9のカラスという名前だ。
「カラスと女の子、関係あるかな」と、学司にメッセージを入れた。
3人は「九烏会」というグループチャットを立ち上げていたが、つい学司へと連絡してしまい、学司ともっと知り合いたいと思っている自分を自覚せざるを得なかった。
学司も当時、カラスが女の子の後をついて行っていたのを目撃していた。
九烏の成り立ちを調べ始め、9羽のカラスの伝説に行き当たる。
この地を守る神がカラスの姿となり、人間から荒らされるのを守っていたというものだ。
あの女の子は、カラスの使いだったのか…?
みるみるうちに蓮の様子がおかしくなる。蓋をしていた記憶がフラッシュバックしてきた。
目の前を走って逃げる祐太。それを追う蓮。追い詰められた祐太は崖の上に立つ民家の裏へ逃げようとして足を滑らせ、崖下へと転落。
蓮、祐太を見失う。
心配そうな莉子に「女の子が見えるって言ってた祐太ってどうしたんだっけ?」と聞いてみる。
母の話だけど、ある日大けがして倒れているところを見つけられたらしくて。その後引っ越して行ったんだって。」
また、フラッシュバック。
蓮の前にカラスが並んでいる。その中の1羽が飛び抜けて黒々と大きな体をしており、眼差しは暖かく感じられる。
そして「よくやった」、そう言われた気がした。
怪しそうに蓮を見る学司。
学司もまたある記憶が蘇っていた。
当時、祐太を追っていた蓮の後ろ姿を目撃していたのだった。
「蓮は、あの時、祐太を消そうとしたのか?」


第4章 ワタリガラスの怒り

3人は九烏の最寄りの駅に待ち合わせをしていた。
莉子は、蓮に2人のことを考え直すことを言おうと思っていた。
学司が気になってしまい、このまま蓮と時間を共にしていくことができないと思ったのだ。
学司も学司であの日のことを蓮に確かめるつもりでいた。蓮が突き落としたのか?蓮とはあれ以来連絡がとりづらくなっており、しばらく待ったが蓮は現れない。

2人で石段を登り始めた。苔で足が滑る。
「この先立入禁止」の札のところにたどり着いた。
「少しだけ」と莉子と学司はその札の脇をすり抜ける。
「怖くないのか、莉子は」と学司。
「学司といると安心できるから」莉子。

廃墟の前に着いた。
何十年も前に住人が放棄して見捨てた家。
裏の庭へと続く細い道が脇に伸びている。
その時裏庭へ走り込む人影が見えた。
女の子!あの時の女の子!
「行ってみよう」と、2人は細い脇道をゆっくり進む。
思った以上に大きな庭。

そしてカラスが1羽、また1羽と庭に降りてきた。
全部で8羽。

2人は気づいた。あの女の子はカラスが人間の姿になったものだったと。
じりじりと後退りする2人。
ふと見ると、カラスの後ろに人間の姿が。
蓮、のはずがみるみるうちに全身が毛で覆われ、四つ足となり、尻尾が見えた。
「……狼!」
狼のような姿になった蓮の後ろに、大きな黒い岩のようなものが見えた。
カラス!
しかもただのカラスではなく、人間の背丈ほどある大きさだ。
「ワタリガラスだ」と学司。
「人間並の知能、未来を予知する力がある。古来から特別な存在として九烏の地で崇められていたって、図書館で読んだ」
「九烏のエリアの象徴…」と莉子。
「そう、だから、お前らが邪魔なんだ」、狼の姿の蓮が言う。
その時、深くて低くて全ての空気を震わせる鳴き声がした。
ワタリガラスの声だった。
「ほっといてもらえないか、って」と蓮。
「蓮、なんで? どういうこと?」


最終章 消えた怒り、残された希望

「僕はカラスたちから人間を見張れと頼まれていたようなんだ」
蓮が語り始める。
「代々、この地の人は、カラスたちが謎の行動を見て見ぬふりをして生きてきた。それがこの天界のルールだった。だけど時々そのルールがわからない人間が登場してしまう。その時に、カラスたちはその異分子を排除した」
ワタリガラスが翼を広げた。
人間3人ほどを覆い隠してしまいそうな大きさだ。
「許せない…」、学司は闘牛のような獰猛な牛の姿になった。
莉子にもスイッチが入った。
バサッ。腕は翼となっていた。
「鷹か、莉子は」と学司。
莉子と学司もまた人間を守る側にいる動物の化身だった。
「去りなさい!」と飛び立ちながら莉子が言う。
カラスたちが後を追い、空中戦となる。
地上では狼と牡牛が一騎討ちへ。激しい乱闘。
空から次々と落ちてくるカラスたち。
それを見ていたワタリガラスが地響きのような声で鳴いた。

「わかったって。この地から去るらしい」
カラスにワタリガラスが近づき、翼で一撫でしたかと思うと、次々とカラスたちは消えた。最後にワタリガラスがゆっくりと姿を消した。
残された鷹、牡牛、狼は、意識が遠のくのを感じていた。

×  ×   ×

あれから数ヶ月。
彼ら3人にはあの時の記憶がなくなっていた。
全員どこかしらに傷を負っていたが、なぜだかまったく覚えていない。
記憶はないものの、蓮は莉子のそばにはいられないと感じ、会社に異動願を提出し、北海道へと転勤になっていた。
莉子は、自分の中にある勇気に気づき、思い切って退職願を出し、小田原へ。
学司も、あきらめて生きていた自分に喝が入り、漁協全体の活性化を図るべく、声を上げることにした。
莉子にふさわしい自分になるために。

そして、九烏地区は?

神奈川県から補助を受けて、天界の危険区域と呼ばれていたエリアの補強工事が始まろうとしていた。
そして九烏地区は「九宇」と名称が変わり、アーティスト村として生まれ変わろうとしていた。

(終わり)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?