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7/8 ニュースなスペイン語 Olvidado:置き去り

車に数時間置き去りにされた男児が亡くなる(Muere un niño tras quedarse olvidado varias horas en un coche)――。

2回目の熱波(segunda ola de calor)に見舞われ、各地で40度超えを記録したスペインで、既視感のある事故が発生してしまった。

日本でも、残念ながら、毎年、夏になると同様の事故で幼児が犠牲になる。

タイトルの「olvidado」は「忘れる(olvidar)」の過去分詞の形なので、文字どおりなら、「忘れられた」ということになる。

ガリシア州のポンテベドラ(Pontevedra)で午後4時50分くらいに、通行人が、車内でぐったりしている男児(2歳)を発見し、112番通報した。

しかし、駆けつけた医療スタッフ(servicios médicos)は現場で男児の死亡を確認したという。

治安警察(Guardia Civil)は、司法解剖はしていないものの(a falta de autopsia)、男児は熱中症によって命を落としたのだろう(la muerte podría haberse debido a un golpe de calor)としている。

取材によると(Fuentes consultadas)、母親はうっかりして(la madre del pequeño se habría despistado)、男児を託児所に預けることなく、職場に向かってしまった(se dirigió a su puesto de trabajo sin dejar al niño en el centro donde debían cuidarlo)という。

ここまでは、残念ながら、日本でもあることなので、あまり、驚かない。

しかし、ここからの周りの反応が日本では見ない(か、少なくとも、小生は知らない)。

男児の遺族の住むオ・ポリーニョ(O Porriño)の市役所(Ayuntamiento)が、弔意を表すために半旗に掲げ(banderas a media asta)、黒リボン(ribete negro)を掲揚した(写真)。

さらに、3日間の喪を公式に宣言し(ha decretado tres días de luto oficial)、週末に向けて予定されていたポリガリア祭を取りやめる(suspender las fiestas de Porrigalia)ことを決定した。

加えて、市長は遺族に対して、「最大限の悲しみ(el más sentido pesar)」を表明し、「この大変辛い時期に皆さんが必要とされていることに対して手を差し伸べる(la mano tendida del consistorio para todo lo quenecesiten(sic) en estos duros momentos)」 と述べた。

男児も辛かっただろうが、母親も我が子を死に至らしめた原因を作ってしまったことで何にも代え難い、そして、恐らく一生背負うことになる後悔の念にさいなまれているだろう。

そんな中で、母親に必要なのは、(日本で起こりがちな)彼女を責め立てることばではなく、街が一体となってあなたに寄り添いますという姿勢だろう。

どんなことをしても男児は戻ってこないが、せめて、遺族の悲しみが一刻も早く癒えるように。

そして、第2、第3の犠牲者が出ませんように。

アーメン。

写真は庁舎に掲げられた半旗と黒いリボン。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230706/muere-menor-olvidado-coche-localidad-pontevedresa/2451492.shtml