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7/7 ニュースなスペイン語 Calmar las aguas:事態を収束する

Calmarは「落ち着かせる」、aguasは「水」の複数形。日本語に無理やり関連付けるなら、ここでは「波(風)」くらいの意味か。口語で「事態を収束する」を意味する慣用句。

嵐の後に静けさがやってくる(雨降って、地固まる)(Después de la tempestad viene la calma)――。

と、今回参照した記事は書き出す。

軍事費(gasto militar)の増額をめぐり、ここ数日間、連立政権(Gobierno de coalisión)を構成するスペイン社会労働党(PSOE)とポデモス党(Podemos)は激しい対立(duros choques)を繰り広げてきたが、少し沈静化してきたかどうか……。

冒頭の言には、「もしくは(こうした状況を)両党がもたらそうと努めているところ(eso es lo que están intentando traer)」 と続く。

つまり、実際には、地は固まっていないが、そこに向けて、両党が歩み寄りを見せ始めた、というところか(小生には、どうも、そのようには見えないのだが……)。

スペイン社会労働党が半ば強引に軍事費増額を政府として承認したのが5日だったが、まさに、その日、ポデモス連合(Unidad Podemos(=ポデモス党の理念に賛同した大臣らによる連合組織))のリーダーで、第二副首相(vicepresidenta segunda)でもあるヨランダ・ディアス(Yolanda Díaz(写真))が、今後の連立継続(seguimiento)について、緊急会合(reunión urgente)の招集(convocar)を求めた。つまり、事と次第によっては、連立解消もあることを匂わせた格好だ。

ポデモス(党も連合も)がそもそも気に食わないのが、スペイン社会労働党の「やり方(forma)」だ。

今回の軍事費増額は「Fondo de Contingencia」という方法で可決された。これは日本語で何と言うか分からない。「緊急追加予算」的な位置づけかな、と思う。

Contingenciaは「偶発」という意味。つまり、当初予算には計上していなかったけど、必要な時が突然発生したら、面倒な手続き無しで、パッと補正予算を成立できる――。

下院での論戦(debate en el Congreso de Diputados)や閣議(Consejo de los Ministros)を通さないでも、政府決定として承認できる。ごく限られたメンバーだけで、最重要項目を決定できてしまう。まるで、打ち出の小槌みたいな制度なのだ。

こういう「やり方」が「不誠実(desleal)」だ、と批判するポデモス勢の主張も分かる。

一方のスペイン社会労働党も引かない。

軍事費増額は交渉の余地はない(no es negociable)。なぜなら、これは国同士の約束だから(un compromiso de país)――。

このように、政府の報道官(portavoz)のイサベル・ロドリゲス(Isabel Rodríguez)はピシャリと断言した。

スペイン社会労働党の中には、しかし、楽観論もあって「時に異なる見解(pese a que en ocasiones tengan visiones diferentes)」はあったけど、「何の問題もない(No pasa nada)」と考える。なぜなら、「我々はどんなときも、テーブルにつき会話をしながら、解決してきたから(porque lo solucionamos todo dialogando sentándonos a la mesa)」。

口うるさいパートナーと長年何とかやってきたという自負があるからだろう。

現在のところ、緊急委員会は開かれる予定はなさそうだ。

ポデモスの本気度はいかに?

ポデモスがただ騒ぐポーズを取っただけだったのか?

それとも、一連のゴタゴタは、今後の連立解消に向けた第一歩なのか?

いずれ、分かる。

写真はポデモス連合のリーダー、ヨランダ・ディアス。今後のキーパーソンになる人物だ。去年の調査だが、国民からの人気も上々で、女性大臣の中では、最も首相(Presidenta del Gobierno )に近いとも目されている。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220706/psoe-podemos-rebajan-tension-choque-defensa-coalicion-imprescindible/2386941.shtml