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8/26 ニュースなスペイン語 Pistolero de Tarragona:タラゴナのガンマン

タラゴナはカタルーニャ州にある港町。

この港町で昨年12月14日、4人が銃によって負傷する事件(tiroteo)があった。うち1人はカタルーニャ州警察の警官(mosso d'esquadra)。

容疑者はマリン・エウゲン・サバウ(Marin Eugen Sabau)。 

サバウはかつての職場で、元同僚たち3人に向けて発砲した後、車で逃走。その途中、カタルーニャ州警察との銃撃戦があり、容疑者は骨髄(medular)などに重傷を負い、即入院。

そのサバウが23日、安楽死の措置を受け(recibir la eutanasia)、死亡したと報じられた。

サバウは武装した姿などから「タラゴナのガンマン」とも呼ばれていた。

サバウによって銃撃された同僚たちや警官、そして、その家族からは、裁判が結審するまで、安楽死を認めないように裁判所に求めていた。

安楽死実行のプロセスは、犠牲者からの訴えによって、2回ほど中断(paralizado)されたが、最終的にはこうした訴えを退けた格好だ。

裁判所は、被告は「犠牲者に肉体的、精神的苦痛と傷(un dolor y un daño físico y moral en las víctimas)」を与えたと認定しながらも、「被告の肉体的、精神的な尊厳を守る権利(el derecho a la dignidad y a la integridad física y moral del investigado)」が優先されるべき(debe preponderarse)のと判断を示した。

サバウは骨髄に銃撃を受けたことで、手足が麻痺(tetraplegia)する状態が続き、これは完治不能(irreversible)とされていた。

なお、サバウが死亡したことで、被告の殺人意図罪(intento de homicidio)などの刑事責任が消滅(extinguida la responsabilidad penal)するため、刑事裁判は結審する(archivar la causa)が、まだ、民事訴訟(recurso civil)は継続する。

サバウは別れの手紙(carta de despedida)をしたため、家族に看取られながら最期を迎えたという。関係者からは、臓器をドナー登録(donar los órganos)したとの証言もある。

事件の重大性、事件の究明、犠牲者の苦しみ、被告の責任、そして、被告の苦しみ――。今回の事案は、重大事件の被告が、安楽死を認められるという初めてのケースとなった。良くも悪くも今後の様々な議論の前例となる。

写真は武装したサバウ。

ちなみに、サバウが逮捕される(detenido)際、ほとんどの記事は、「neutralizar」という語を使っている。

Neutroは「中立の」、これを動詞化したのがneutralizarなので、「中立化する」という意味。つまり、「プラマイゼロにする」ということなので、ここでは、「武力を無効にする」という意味になる。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220825/jueza-ordena-archivar-causa-pistolero-tarragona-muerto-eutanasia/2398447.shtml など