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8/29 ニュースなスペイン語 #Se acabó:もうたくさん

小欄でも連日取り上げている、スペイン王立サッカー協会(RFEF)の会長ルイス・ルビアレス(Luis Rubiales)の「合意なきキス(beso sin consentimiento)」をめぐり、女子サッカー界のみならず、男子サッカー界からも、そして、スペイン国内だけでなく、国外からも、被害者であるジェニファー・エルモソ(Jenni Hermoso)に対する支持(apoyo)の声が続々と上がっている。

彼女ら・彼らが「#Se acabó」のハッシュタグを付けたメッセージがSNS上を駆け巡っている。

2017年にハリウッドから始まったセクハラ告発運動になぞらえて、「#Me too」のハッシュタグの付いたものも見受けられる。

ルビアレスによるキス騒動から5日経ち、スペイン女子サッカーの第一人者アレクシア・プテジャス(Alexia Putellas)は、次のようなメッセージをSNSに投稿した。

これは許されないこと。もうたくさん。親愛なる仲間ジェニ、私はいつもあなたと一緒(Esto es inaceptable. Se acabó. Contigo compañera @Jennihermoso)。

これに多くの女子サッカー選手らが続いた。

小生は恥ずかしながら知らなかったのだが、今回の「もうたくさん」運動のきっかけがすでに1年前に芽生えていたらしい。

こちらの詳細は日を改めて紹介したい。

なお、「もうたくさん」のスペイン語は「Se acabó」なので、直訳すれば、「終わった」という意味。

何が「終わった」のかが明示されていないところに、何か、一言では表しきれない程の問題の広がり、根深さを感じる。

これまで、世間によって黙認され、抹殺されてきた男たちの暴力と、矮小化され、冷笑されてきた女たちの抗議は、もう、終わった(し、これから、新しい何が始まるに違いない)――。

そんな宣言にも、祈りにも似たメッセージ。

この運動の反響は大きく、サッカーチームセビージャの男子選手たちは、本日のキーワード「#Se acabó」と書かれたユニフォームを着てピッチに登場した(写真1)。

写真1

また、サッカーチームカディスの選手らは以下に見るように「TODOS SOMOS JENNI(私たちは皆、ジェニファーと同じ立場にいる)」と書かれた横断幕をコートに広げ、エルモソへの支持を表明した(写真2)。

写真2

日本人に馴染みがあると言えば、ヴィッセル神戸を今年7月に退団したばかりのアンドレス・イニエスタ(Andrés Iniesta(写真))も次のようなメッセージを出している。

あれから1週間が過ぎた。今、私たちがサッカー界と女子サッカー代表チームで目の当たりにしていることは大変悲しいことだ。それは、人として、3人の娘の父親として、夫として、そして、サッカー選手としての悲しみだ(Después de lo que ha pasado esta semana me gustaría transmitir mi tristeza, como persona, como padre de tres hijas, como esposo y como futbolista, ante los acontecimientos que estamos viviendo en nuestro fútbol y alrededor de la selección española femenina)。

マドリードではエルモソ支持のデモも起こっているようだ。

サッカー界だけでなく、他のスポーツや他の職種にも広がっていきそうな勢いだ。

写真はイニエスタ。

ちなみに、西洋の魔女がまたがるほうきの原料が、日本語でいう「エニシダ」という植物の枝。

この植物は、スペイン語では「hiniesta(発音は「イニエスタ」)」という。

名字のIniestaの方は地名起源らしいが、hiniestaと根っこは同じ。

出典
https://www.rtve.es/deportes/20230827/seacabo-movimiento-cambio-futbol-espanol-metoo-rubiales-jenni-hermoso/2454677.shtml