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4/12 ニュースなスペイン語 Juan Carlos I(3):フアン・カルロス1世(3)

上皇(Rey Emérito)フアン・カルロス1世(写真)のお話し。

フアン・カルロス1世は、現国王フェリペ6世(Felipe VI)の父親で、訳あって、現在はスペイン国内にはおらず、アラブ首長国連邦のアブダビ(Abu Dabi)に隠遁している。

どんな訳か、についてはここでは取り上げないが、まぁ、在位中だけでなく、国王の座を退いた後も、いろいろなスキャンダル(el escándalo)があったのだが、結局、不逮捕特権(inviolabilidad)などの壁があり、昨年5月に、捜査がすべて打ち切り(investigación fue archivada)となった(昨年5月13日の記事を参照)。

だから、フアン・カルロス1世は、法的には、何もやましいことはないのだが、さすがに、居心地が良くないのか、アブダビで息を潜めているというのが現状。

そのフアン・カルロス1世が、今月19日、スペインに一時帰国することが明らかになったというニュース。

なお、今「帰国」という言葉を使ったが、少なくとも、スペイン国営放送(RTVR)の記事は、

viajar a~(~に旅行する)
llegar a~(~に到着する)
visita a España(スペイン訪問)

という表現を使い、巧みに「(スペインに)帰る」という語を避けているみたい(一か所だけ「regreso a España(スペインへの帰国)」があったけど)。

それなのに、スペインでの全日程を終え、隠遁地に戻ることを「アブダビに帰る(regresar a Abu Dabi)」と表現している。

中々、複雑だ。

さて、今回も、昨年同様、フアン・カルロス1世はガリシア州ポンテペドラ県のサンシェンショ(Sanxenxo)という都市で行われるスペイン杯(Copa de España)ヨットレース(regata)に参加することをスペインにやってくる口実にしている。

ヨットレースの主催団体の代表がペドロ・カンポス(Pedro Campos)という男性で、カンポスはフアン・カルロス1世の友人(amigo)と目されている人物。

昨年は、このカンポスの家に上皇は滞在したが、今回はどうなることやら。

昨年と大きく違うのが、まず、今回は、サンセンンショに行く前に、イギリスのチャールズ3世(Carlos III)から「プライベートな昼食会(un almuerzo privado)」に招待されている点。

どうやら、フアン・カルロス1世は今年の8月に英国で開催されるヨットの世界選手権に出場する(participar)ことも、もくろんでいるようで、事前のトレーニング(entrenamientos previos)を兼ねて、スペインとイギリスを訪れるらしい。

もうひとつ、少なくとも、現時点で異なるのが、現国王フェリペ6世をはじめとする皇室メンバーとの再会の話が漏れ聞こえてこないこと。

去年は非公式の会談がずいぶんと取りざたされたが、今回は(まだ)静か。

王室筋(fuente de Zarzuela)によると、今回の上皇のスペイン訪問はプライベートな分野の事なので、王室はコメントを控えたいというスタンスらしい(La Casa del Rey no ha querido pronunciarse sobre los nuevos planes de viaje a España del don Juan Carlos al alegar que se trata de un viaje de ámbito privado)。

フアン・カルロス1世はエリザベス女王(Isabel II)の葬儀の際、妻である上皇后ソフィア、フェリペ6世とレティシア女王の現国王夫妻と会っている(ちなみに、上皇夫妻は別居中(separados))。

また、4人は、今年、ソフィア上皇后の弟であり、元ギリシア国王コンスタンティノス2世(Constantino de Grecia)の葬儀の際にも顔を合わせている。

今年の5月にロンドンで執り行われるチャールズ3世の戴冠式(actos de coronación)にも、4人は集まることになりそうだが(Se barajaba que el emérito volviera a coincidir)、まだ、参加者リストはバッキンガム宮殿によって承認されてはいない(el listado de invitados no ha sido confirmado)ので、4人揃っての再会が実現するか分からない。

フアン・カルロス1世は現在85歳。

憎まれっ子は世にはばかるのが常だが、それでも、永遠に続く命ではあるまい。

故郷に戻るのに、なんやかんや、口実を見つけなくてはならない上皇は、自分の撒いた種とは言え、気の毒な気もする。

写真は昨年5月に帰国した際の様子。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230410/juan-carlos-preve-volver-espana-segunda-vez-proxima-semana-tras-visitar-carlos-iii-londres/2437672.shtml