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4/4 ニュースなスペイン語 Precampaña:前哨戦

とてつもなくデカい。

縦22m・横29mの巨大なポスターが2日、マドリード市のメインストリート、グランビーア通り(Gran Vía)に出現した。渋谷のど真ん中に、小学校の25mプールをすっぽり覆い隠せるくらいの大きさのポスター(lona;pancarta)が現れるのと同じくらいの異様さがある。しかも、ポスターに映るのは政治家だ。

ポスターの左半分には「写真の次は、コロンブス政権ですか?(Tras la foto, ¿El Gobierno de Colón?)」と書かれ、右半分にはスペイン社会労働党(PSOE)からのマドリード州知事候補アンヘル・ガビロンド(Ángel Gabilondo)の顔が写る。そして、顔写真の下には「真剣に計画を(Programa en serio)」とある。来月4日の州知事選挙にむけたポスターである。

コロンブス政権とは何か?

2019年2月10日朝、マドリード市のコロンブス広場(Plaza de Colón)で、のちに「コロンブス(広場で)の写真(la foto de Colón)」と呼ばれることになる写真が撮影された。写真の真ん中には国民党(Partido Popular)党首パブロ・カサド(Pablo Casado)、ひとりおいて左側にはボックス党(Vox)党首サンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)、そして数名おいて市民党(Ciudadanos)党首アルベール・リベラ(Albert Rivera)が写る。そして、リベラの脇を固めるのが、共に市民党の、現マドリード副市長ベゴーニャ・ビジャシス(Begoña Villacís)と同マドリード副知事イグナシオ・アグアド(Ignacio Aguado)だ。

この写真は、極右のボックス党、中道右派の国民党、同じく中道右派の市民党が、打倒ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権を謳い集結した際に撮られたもの。翻って、超党派の抵抗勢力の象徴としてよく引き合いに出される。

とは言え、今はいろいろな記事で既報のとおり、国民党と市民党は決裂、ボックス党と国民党が急接近しつつあるという構図だ。

冒頭の巨大ポスターには、「コロンブスの写真」のメンバーに加え、現マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)が写る。うかうかしてると、コロンブスの写真が現実となって、今度は極右と中道右派の政権が本当に到来してしまいますよー。こんな警鐘を鳴らす。極右にアレルギーがある国民は多いので、一定程度の効果はありそうだ。

破局した市民党と隠し通したいボックス党との蜜月ぶりー。蒸し返された国民党は面白くない。早速、国民党は、選挙運動(campaña electoral)が正式に解禁する(=今月18日)前に、PSOEが選挙広告(Publicidad electoral)をうった行為は公職選挙法(La Ley Orgánica del Régimen electoral General)の39条1項に違反するとして、選挙管理委員会(Junta Electoral)に提訴した。

一方、訴えられたPSOEは返す刀で、国民党からの2名の立候補者が、選挙告示前にマドリード市に住民登録(empadronamiento)を済ませていなかったとして、選挙管理委員会に提訴した。

すでに泥仕合の様相だ。各党の駆け引きが今後どのように展開してゆくのか。目が離せない政治ショーだ。

写真は20 minutos紙(4.3.)より。グランビーア通りのパラシオ・デ・ラ・プレンサ(Palacio de la Prensa)にかけられたPSOEの選挙広告。