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4/25 ニュースなスペイン語 Reflexionar:熟考する

スペイン国営放送(RTVE)の系列局「ラジオ5(Radio 5)」が現地時間の25日午前2時頃、SNS上に次のような速報を打った。

ペドロ・サンチェス首相が市民に向けた書簡の中で、自らの妻が受けた攻撃の重大さに鑑み、しばらくの間、熟考する時間を取る旨、表明(Pedro Sánchez anuncia en una carta a la ciudadanía que "la gravedad de los ataques que recibe su esposa" le obligan a tomarse un tiempo de reflexión)。

サンチェスの妻、ベゴーニャ・ゴメス(Begoña Gómez)に、コルド案件(caso Koldo)にまつわるグレーな噂があることを3月27日の小欄(https://note.com/jidequin/n/n8f66e6a1c32c)で紹介した。

また、今週月曜日から始まったコルド案件に関わった、もしくは、そうした可能性のある人物の証人喚問(comparencia)が始まったが、4月20日の小欄(https://note.com/jidequin/n/n7b59d8e17b1c)では、ゴメスはそのリストには入っていないことも紹介した。

はて?グレーなゴメスは何のお咎め無しかと思っていたのだが……。

どうやら、極右系団体(organización ultraderechista)「清き手(Manos Limpias)」 の告発(denuncia)によって、マドリード地裁(Juzgado de Madrid)が動き始め、ゴメスに対する調査のための法的手続きを開始した(haya abierto diligencias de investigación)らしい。

こうした地裁の決定の数時間後、冒頭の書簡がSNS上に公表されたという。

現執行部に残るべき(debe continuar al frente del Ejecutivo)か、首相職という最高位の職務を辞すべか(renunciar a este alto honor)を熟考するために、自らの業務日程を白紙にし(cancela su agenda)、どちらの道を決めるか(decidir qué camino va a tomar)を考えたいとのこと。

つまり、また、解散総選挙の可能性が出てきたのである。

そして、自らの進退については、今月29日予定されている自らの証人喚問の日に、明らかにするとした(será el próximo lunes 29 de abril cuando protagonizará una comparecencia en la que dará a conocer su decisión)。

自らの妻への前例なき攻撃(el ataque sin precedentes)について言及し、「妻は何か不法なことをしたから告発されているわけではなく、そんなことは告発している側だってよく知っているはずだし、私の妻であるというだけで、告発されている(denuncian a Begoña no porque haya hecho algo ilegal, pues ellos saben que no hay caso, sino por ser mi esposa)」とし、妻の潔白を強調した。

そして、

政治家の前に、私は、人間である。妻は毎日のようぶちまけられる泥の中で辛抱強く生き抜いている。こんなことを言っても何の恥ずかしさも感じないが、そんな妻を心から愛している(tras los políticos hay personas. Y yo, no me causa rubor decirlo, soy un hombre profundamente enamorado de mi mujer que vive con impotencia el fango que sobre ella esparcen día sí y día también)。

と、まぁ、絶対、日本の首相なら口にしない、妻への愛を語って見せた。

さて、今後の日程については、憲法115条3項で、内閣を解散させてから(disolución de las Cortes)、1年が経過していないと新たな総選挙を招集できない(no se pueden convocar elecciones hasta que no haya pasado un año)と規定されているから、もし、サンチェスが内閣解散総選挙を決めた場合、最速で来月29日に選挙の公示などが行われる見込み。

昨年5月30日の小欄(https://note.com/jidequin/n/n44cb880d8908)では、サンチェスが解散を決め(、その結果、総選挙をおこなうことになっ)たことを紹介したが、その時から1年経つ29日に、また、運命の日が巡ってくる(かも)。

前回の解散はマドリード州選挙でスペイン社会労働(PSOE)が大敗した責任を取った形。

で、今回は、自らの妻の不正疑惑について、国民の審判に問うのか。

いやはや、首相は気苦労が多い。

写真はサンチェス首相(右)と妻のベゴーニャ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240424/pedro-sanchez-cancela-agenda-reflexionar-renuncia-presidencia-tras-denuncia-esposa/16075211.shtml