【読み切り】「キラとモコの大切な気づき」
昔々、おおきな森に住むコウモリのキラという男の子がいました。
ある日、キラは自分のすごい能力を使って、友達の役に立とうと思いました。でも、キラの心の中には、自分のすごい能力を「すごいね」と言って欲しい気持ちが強く渦巻いていました。
このことをキラは自分自身、分かってしませんでしたが、どこか自慢げな雰囲気を感じた友達は、徐々にキラから離れてしまうのでした。
一生懸命に相手の役に立とうとしているのに、相手が受け入れてくれないことに腹を立てていたキラでしたが、これは何か自分の心の中の問題なんじゃないかと感じるようになってきました。
キラは考え込みました。
すると、小さなフクロウのモコがやってきて、キラに尋ねました。
「キラ、なにか悩んでるの?」
キラは、自分の気持ちを包み隠さず、素直に話し始めました。
「僕は、自分のすごさを伝えたかったのかもしれない。だけど、それは友達にとってはお節介になっていたようだ。
今の僕は、自分のすごさを自慢することより、友達が笑顔で喜んでくれたら、それが一番 嬉しい。」
キラは、半分べそをかいていました。
モコは微笑んで言いました。
「そうなんだね。キラはホントにやさしいね。友達を放っておけないんだろ。」
モコはやさしく続けました。
「お互いの気持ちを大切にすることは、本当に重要なことだと思うけど、
キラの場合は、もっと自分を大切にしてあげて良いと思うよ。
こうやって、自分の気持ちを正直に伝えられているじゃないか。
もう、キラは大丈夫だよ。」
モコの言葉を聞いて、キラの心はあったかくなりました。
「モコ、ありがとう!」
キラの目から、涙がこぼれました。
キラはモコの言葉を受けて、自分の気持ちにも、友達の気持ちにも、もっと寄り添えるようになりました。
そして、自分の素直な気持ちを表現することで、友達との絆がより深まっていくのでした。
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