【読み切り】心の眼鏡
昔々、冒険好きな少年トビーが、不思議な眼鏡を見つけました。
この眼鏡をかけると、その人の心の状態に共鳴して、周りの景色が変わると言われていました。
明るい気持ちのとき、トビーが眼鏡をかけると、公園の噴水がキラキラと輝き、花々はまるで心の中に広がる幸せの表れのように美しく咲いて見えました。
しかし、憂鬱な気分のときには、その眼鏡を通して同じ公園を見ると、壊れているベンチが目につき、ポイ捨てされたゴミが散らばって、みすぼらしく、汚らしい雰囲気に公園が見えたのです。
友達に眼鏡を貸してみると、彼らも同じ場所なのに、気分によって異なる景色を見ることになりました。
感情の起伏に合わせて、見ている世界が違っていることが、その眼鏡によって強調されていることを発見しました。
同じ日常の風景でも、自分の気持ち次第で、輝いて明るく見ることも出来るし、落ち込んで暗く沈んだ風景に見ることも出来ることを、トビーと友達は学びました。
こうして、彼らは心の光と影を意識して、自分の毎日見る景色を、自分の気持ちを整えることによって、より豊かなものとしていったのでした。
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