昔々、小さな村に住むリアム・ミッチェルは、いつも人助けをしていました。

村の住人たちは、彼が困っている人を見過ごすことなく、手を差し伸べてくれることに感謝し、リアムの存在を頼りにしていました。

しかし、リアムの心の中には深い不安が渦巻いていました。

彼は自分に自信がなかったのです。

子供の頃から何かに挑戦することを躊躇し、他人に褒められることで「自分の価値」を見出そうとしていました。そのため、人助けを通じて他者からの承認を受けることが、彼にとって心の支えとなっていたのです。

ある日、村は大きな災害に見舞われました。
リアムはいつものように人助けをしていましたが、心の中で、自分自身が助けを求めていることに気づきました。彼は自分の弱さと向き合い、他者の期待に応えるだけではなく、自分自身にも手を差し伸べる決断をしました。

リアムは自分の心と向き合い、人助けを続ける中で自分がなぜそれに力を求めているのかに気づき始めました。彼は他者に喜ばれ、感謝されることで、自分に価値があると感じられていたのです。

しかし、その背後にあるのは、「自分への自信の不足」でした。

ある日、彼は村の中心にある大きな樹の下でひとり考え込んでいました。他人の期待に応えようとする行動の本音の底に、自分自身への不安が隠れていることを、ハッキリと感じとりました。

彼は思索に耽りながら、心の奥底に眠っていた感情に気づくことが、本当の自己認識への第一歩だと理解しました。

「他者の期待に応えることでしか自分を確かめられないのは違う。もっと自分自身に向き合ってみる必要があるんだ」と、彼は心の中でつぶやきました。

自分の行動が他者の評価に依存していることに気づき、新たな自己認識の旅が始まったのです。
　　　　　　　　　　　　　後編につづく