口の中から生まれた生命は、そこでまた死ぬ。
見えない敵が、深夜の私のアパートの扉を叩いている。
音は聞こえません。
瞳孔の裏に、現れた天地反対の白服のピエロが音も出さず、呼び鈴を繰り返し鳴らしている。
白いピエロは、夜空に息を吹きかけながら、呼び鈴をゆっくりと繰り返し押している。
恐怖と好奇心が混ざり合っている私の頭の中は、私の筋肉には話しかけず、ただただ私の意識を占有し続けている。
こんな状況を、客観的に見ている奴がいた。
それは、無という私の一部。
色で書き表すなら黒であるが、書き表すには何も無さすぎる。
非存在という、存在。
認知できている時点で、それは非存在ではないが、そういう名前を与えたくなるような存在のない存在である。
音も、反応もない。
動かない。
動かないが、私を基準としてある距離、角度、大きさを保ってそこにあり続ける(ない状態を続ける)。
白いピエロは、その「非存在」に気付いているのだろうか。
それは、白いピエロに気付いているらしい。
なぜ、気付いているのがわかるのか。
よくは分かりませんが、それが一つの思念としてそのことを私に送ってきているような気がしています。
このことは、口からは言えません。
手では、話せます。
口から生まれたことばは、きっと口の中で死ぬべきだと思います。
手で生まれた言葉はそれ自体で形を持ちはじめ、複製可能性を内包しながら自己増殖していきます。
まあ、何が言いたいかと言うと、眠たいです。
寝ます。
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