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脳に渾身の力をこめるときどんな物質の移動や変化がおこっているのか


はじめに

 将棋のタイトル戦をみていたとき。解説者が対戦中の棋士のようすを見つつ「しらみつぶしにさきの手を読んでいますね。」といった。それにつづいて聞き手が「おそらくこれだけ集中をつづけていると大量のエネルギーを消耗するんでしょうね。」という。なるほどなあ、あたまをつかう作業で根をつめるとハラがすくかもしれない。

プロのしかもタイトルのかかる対戦ならばきっとハンパじゃないだろう。しぜんとあまいものをほしくなるという。それにしてもどうやってこれほど効率よく手を読みつづけることができるのか。脳へかなりのエネルギーを集中させるはず。

きょうはそんな話。

ポンコツあたま

 このところひっこしにともなう諸手つづきを数日にわたってやった。とくにくるまの自賠責保険の住所変更手つづきについてははじめて。なかなか手順を理解するのに手間どった。

車検のたびに自賠責については業者のかたについでにやってもらっていた。今回は車検がとおったあと数日後にひっこすというだんどりのわるさ。へんな順序でひっこしたため、ただちに自賠責保険、車検証、それとともに車庫証明などなどくるま関係だけでもさまざま変更が必要だった。

2週間以内にやれという。法律なのでしかたない。ひっこしてから車検に出せば手間いらずだったがあとのまつり。よぶんな手間がかかってしまった。これでもわかいころならばなんなくやれたと思う。

齢をかさねて理解がなかなか追いつかない。窓口でよぶんな手間やむだなだんどりを踏まないですむように、ネットで予習して調べておいたり、役所でねんのために住民票や印鑑証明などをよぶんにもらったり。なんとか完了しほっとひと安心。

脳のはたらき

 さて本題へうつろう。わたしのポンコツアタマとちがい、ネット上の将棋対戦中の棋士たち。なかにはタイトル戦のように午前中から翌日の夜までまる2日ちかくあたまをはたらかせつづける。その一部始終をこちらはながめるわけではない。ずっと視聴することなどしないしできない。たまにちらりちらりと要所要所をかいまみるていど。

プロの将棋は長考といって1時間以上手がすすまないときすらある。これってつぎの手を選ぶわけだが、そのさきを読んでいき、場合によっては20手、30手さきまで予想してくらべるらしい。わたしなど3手さきでも読めないし、手も浮かばない。それを相手の予想手もふくめて20手さきなんて神わざ。

修練のたまものなのはたしか。なんでもプロのやることはそうかもしれないし、凡人のわたしがかんがえるレベルでプロがミスをすることはありえないし、もはやゆびさきがそうはうごかない。自然と最善の手のほうにからだとあたまがむかい、悪手は感覚的に排除できるだけのレベルに到達したうえでの考察。

どんなあたまのつかいかたをしているのだろう。生命科学者のはしくれのわたしにとってはむしろそうした修練の結果でみがかれた脳のはたらきを分子レベルで知りたい。それはどんなしくみでそなわるのか、そしてどんな修練を経ると脳神経の連関は高度に発達をむかえられるのか。

おわりに

 脳の領域のはらたきの解明は人類の科学のおおきな目標のひとつ。AIはまさにそれを補完する役割から補佐するへとなりつつある。たとえば将棋ではこうした予想手やその手によってどちらがどれほど有利になるかを高速で演算して予測する。

ヒトがこわくて指せない手を平気で候補手にあげてくる。横道にそれてしまうが、ここにたとえば人間味を考慮してたとえば「恐怖指数」なるものをAIのプログラムに加味すればどうなるのか。もしそうできればよりニンゲンに近い手を予測してはじきだせるのか。それも興味深い。

これすらヒトの生み出したテクノロジーのひとつ。脳でおぎなえない役割をAIはみごとに果たそうとしている。わたしの専門とするタンパク質の構造解析の分野(AlfaFold2など)で精度のたかい構造予測にもはやなくてはならないパートナー。

将棋と生命科学だけではない。いままさにさまざまな領域でAIをしごとのなかでつかいつつある。それにもまして電源を必要としないでこうしたAIまで生み出してくる脳の高度なしくみをわずかでもいいので知りたい。


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