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こんな庭でもかぐわしいかおりをはなつ花がいっせいに咲きはじめた


はじめに

 ようやく東の空からあかるくなる夜あけ。庭にふと出るとふぅっとここちよいそよ風。まさにやさしい空気につつまれる感触。白い花がまだほの暗さののこるなかでむかえてくれる。こうした薫る花の咲くこのごろ。この季節に競いあうようにつぎつぎと。

きょうはそんな話。

ふと気づく

 いまではほとんど世話するほどもない。古くからわが家にある庭木たち。季節がめぐると例年わすれずに順番に花を咲かせていく。5月以降になると虫たちをさそうのだろう、白い花弁をもつ花々がひらく。この庭でも例外でない。

レモンとバレンシアオレンジは接ぎ木か苗木を買って植えつけ、花をつけたもの。これらは品種改良がすすんでおおきな果実をならせる。花はそれについでめでるもの。あるいはかおるもの。

みかんの花はほんとうにすぐれもの。すこし過ぎてしまったがみかん畑に足をはこぶとその場がちかづくにつれて、かおりの主たちがむかえてくれる。白い花はけっこう遠くからでもめだつ。

白い花に顔を近づけると「ここだよ。」としらせてくれる。丸いクリームをトッピングしたようなつぼみのすがたも愛らしい。

ふたたび庭

 この花にはふとそばをとおりすぎるとほんわかしたかおりに気づく。ここちいい。植えたおぼえのないくちなし。庭の数か所に生えている。おそらく鳥がはこんできて根づいたのかもしれない。

 ここ2週間ぐらいでくちなしが満開。きょうはおそらくいちばん花数が多い。昨年すこし刈りこんだので、すっきりしたのか例年になく花が多い。木全体がぽつぽつとしろい花弁に被われ、新緑との対比がうつくしい。

しかもくちなしはこのあと実をつける。そして熟した実をもいで乾燥させる。冬にはきんとんの色づけにつかえる。びっくりするほど濃いオレンジ色があらわれる。くちなしからはこの黄色のほかに青色の色素がつかわれるのは興味深い。こんな色、どこにかくれているのだろうと思う。


この木のまわりには

 この週末にいっせいに鉄砲ゆりが開いた。窓をあけると室内までかぐわしい。ちょうどここちよい海かぜにのって窓ごしに腰かけていても芳しい。

それにしてもことしはゆりもうつくしい。花たちが例年のごとく咲く光景を目に焼きつけておこう。まもなくわが家をはなれる。この生活もあとわずか。梅雨を越すとあたらしいしごとにむけて街に出る。

おわりに

 早春のわが家の梅、そして春先のおとなりの庭の沈丁花、オレンジやレモン、今月のくちなしや鉄砲ゆりとほぼひと月ごとに香りを楽しんできた。

これからすごす賃貸住まいではしばらくできない。2年ぐらいをめどにした仮住まい。そののちはどこにおちつくのやら。
 

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