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成人日本人が台湾帰化すると合法的且つ自動的に重国籍となる特殊事情

シンプルに結論から言うと、現在の運用だと成人である日本人が台湾帰化申請すると合法的且つ自動的に2重国籍となります。裏技でもなんでもなく、日本国籍を離脱したくてもできないからです。原則他の国だと異なるはずですが、日本と台湾の特殊事情によって実務的にそうなっています。

あくまで現時点の運用の話で、将来的には国籍法等の関連法が変わる可能性もありますが、どちらの国から見ても優先事項ではない(他にもっと優先しないといけないでかい問題が山積みな)こともありますが、もし日台二重国籍ができなくなるような法改正が仮にあったとしても、既に重国籍になっている人に対してすぐさま不利にすることは避けるように調整する傾向にあり、新しい世代への適用のみになるのではと予想しています。つまり、やるなら今だ!

法と実務

下記、2022/01/11付け、台湾に太い根を張る弁護士法人黒田法律事務所さんの説明を要約します。(原文はリンクから確認ください)

台湾での帰化申請の原則
 台湾の国籍法によると、外国人が帰化申請する場合、原則として、元の国の国籍喪失証明書を提出する必要があります。
 しかし、帰化申請者が国籍喪失証明書を提出する必要がないとされる例外があり、その1つとして、「本人ではどうすることもできない理由により、国籍喪失証明書を取得できない」場合があります。

弁護士法人黒田法律事務所

日本国籍から離脱できない
 日本において、台湾国籍を取得したことを理由に、日本国籍離脱の届け出を行った場合、日本政府は1つの中国政策により台湾を国家と見なしていないため、不受理処分が下されます。このため、台湾への帰化申請をした日本人は、日本国籍を離脱できず、日本国籍喪失証明書を取得できません。その代わりに「国籍喪失届不受理証明書」が発行され、「本人ではどうすることもできない理由により、国籍喪失証明書を取得できない」ことを証明できます。
このように、日本人が台湾国籍を取得しても、日本国籍を離脱できません。

弁護士法人黒田法律事務所

日本政府にとって台湾は国ではないことになっていて、日本国籍を離脱したら無国籍になるから離脱は認めませんと。日本国籍離脱できないのを知っていながら日本政府に離脱依頼し、離脱不受理が届くのでそれを台湾政府にだすと。

しかも日本・台湾の両国政府の担当者もわかっててこの茶番を続けているという… 実務上、結果的にこうなるということで、先に事情を理解しておけばただの手順の一部として不満も抱かないのではないでしょうか。

永久居留証から台湾帰化すると何が違う? メリットやデメリット

メリデメ調べ&考えてみました。永久居留証(永住権)はあくまで外国人として台湾に永住できますが、帰化は台湾人になるということなのでローカルの仲間入りです。メリットばかりで、デメリットは少ないことが浮き彫りになりました。

  • 男性は18~36歳の間に兵役義務が生じる (女性はなし)
    →多くの男性にはデメリットだと思われるが、考え方によってはメリットになる。兵役中は給料もでるので他に仕事が見つからない若者の経験の場として。IT部門に配属されれば最先端の技術を給料を貰いながら学ぶことができる。
    →兵隊やってみたかったという変人がいればめっちゃメリット。
    →強くなるから男は兵役行けくらいの風潮あり。
    →ローカル台湾人男性との一体感、およびローカル台湾人から認められる。

  • 年金貰える
    →永久居留証だけだと年金貰えないが、居留証+台湾人配偶者だと年金貰える。台湾帰化だと台湾人配偶者でなくとも貰える(はず)

  • 台湾における信用力
    →クレジットカードが作りやすい
    →住宅ローン等の銀行融資が受けやすい

  • 選挙権を得ることができる
    →ただし二重国籍者は選挙に出馬はできない 公務員にもなれない

  • 財産権
    →外国人に制限されている山林・狩猟地の所有権ができる

  • パスポートを2つ(以上)所持できる
    ほしい人にはメリット

  • 管理すべき書類・事務処理が増える
    →当然、戸籍やらパスポートやらの行政(もしくは民間の)登録が増えるので面倒なことと、小さな金額だが発行手数料を払う回数も倍になる
    →もともと2国間(以上)を行き来するのであればたいして変わらない、もしくは逆に出入国やら書類がスムーズになる可能性も

  • 「台湾同胞証」(台湾居民来往大陸通行証)を持つことができる
    →中国への行き来がスムーズ
    →どちらも本名として日本名と中国語名を持てる

  • 診療所を開業できる
    →外国籍のままだとできない(らしい)

  • その他、外国人の身分だと得られない権利があれば

子供が日台ミックスで元々重国籍の場合

上記は成人日本人が台湾帰化する場合を想定していたが、子供が日台ミックスで、元々重国籍の場合はどうだろうか。
日本では重国籍の子供は成人を迎えてから2年以内に国籍を選択せねばならないということになっている。

先述の理屈であれば、日本政府に台湾籍を選ぶことを宣言すると、台湾なんて存在しないから国籍離脱できませんということになって、日台ミックスの場合も結局2重国籍を維持できる。(台湾側には国籍を剥奪する制度はないよう)

一方で、日本政府に日本国籍を選ぶと宣言して、台湾政府に国籍離脱手続きをすることは可能で、日本国籍のみとなることができる。

女性は兵役がないので、先述のように国籍選択の宣言がそのときに必要なのであれば台湾籍を選ぶから日本国籍を放棄することにすれば二重国籍を維持できて、男性の場合で台湾の兵役を避けたいがために日本を選んで台湾籍を一旦放棄し、36歳を超えてから台湾籍の復活をすれば2重国籍に戻ることができる、ということになると思う。というか、そもそも日本政府からしたら台湾は国でないってことになっているので宣言もする必要ないのか。しらんけど。

参考と引用元

下記の記事を参考にさせて頂きました。ありがとうございます。

知っておこう台湾法 第411回 台湾への帰化 弁護士法人黒田法律事務所

帰化に関するQ&A 居留問題を考える会

日本人から台湾人になってわかる 「二重国籍」でしたたかに生きる台湾の知恵 フォーサイト

二重国籍批判で無視された「台湾籍の事情」 氣象報告常常不準


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