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心得14 プレーヤーとしての実務経験が豊富であっても、「管理職としては素人」という自覚を持つ

多くの管理職は、これまで遂行してきた専門分野の業務で実績を上げ、それが認められた結果として管理職となっている人が大半ではないでしょうか? もちろん例外はあるかもしれませんが、大抵は営業部門であれば営業部門の管理職へ、開発部門であれば開発部門の課長職へと、まずは昇進するのが一般的です。
 一般的に業務のパフォーマンスを見る上で簡単に、次の3つのレベルに分けることができます。

・基礎的な知識を習得し始めたばかりの「基本レベル」
・基本的なことからさらに応用的なことができる「応用レベル」
・その業務を一人でこなし、任せても問題ない「習熟レベル」

 一般的に、自分がこれまで携わってきた営業や開発、人事、総務、経理、制作などの専門分野で「習熟レベル」まで到達した人がその部署で管理職になり、時にはプレーヤーとしての実務をこなしながらマネジメントもする「プレイングマネジャー」のポジションに就くことも多いでしょう。
 いずれにせよ、管理職になれば部下を率いてチームとしての成果を作ることを求められます。その仕事の中には、部下の「業務管理」だけでなく、部下の「育成」も含まれます。
 ここで問題となるのは、管理職・リーダーが業務においてはこれまでの経験から「習熟レベル」で部下の業務管理については経験がそのまま役に立ちますが、部下育成に関しては「素人であり基本レベルである」という点です。つまり、プレーヤーとしての実務経験とは異なる「部下育成のための専門的なスキル」が必要不可欠となってきます。

 中には部下の指導や育成を「我流」で上手くやれる場合もあるでしょう。しかし、それはその人が独自に培ってきた指導・育成スキルや人間的な魅力でたまたま上手くいっている比較的少ないケースで、実際は「部下をどのように指導し、育てたらいいのか知識がない」「何を目指していけばいいのかわからない」という管理職やリーダーの声はあとを絶ちません。
 人材育成の悩みの原因の一つに、管理職が体系だった部下の育成理論やスキルに関して学び体得する場が少ないことが挙げられます。管理職研修があっても、せいぜい年に一回一日の座学程度のものが多く、〝学ぶ環境〟が不足している状態では、管理職としての能力向上はなかなか望めません。
 体系だった部下の育成理論や知識すらないまま管理職に就いた上司の苦労を見て、「将来は管理職になりたくない」と若い部下たちも思いかねません。そういった組織では、後進の育成は遅れ、やがては任せられる人材やリーダーも不足するといった悪循環が起きやすくなります。

 管理職としてはさらには、会社全体の戦略を踏まえて部門のビジネスモデルを構築したり、組織が抱える本質的な問題を解決したり、将来を見据えて組織の変革を行うなど、部下を持たないプレーヤー時代のスキルとはまったく異なる、組織に関わるスキルも必要になってきます。
 いずれにせよ、管理職やリーダーになったなら、まずは今までの自分の実績は脇に置いて、「自分は部下育成の素人である」という自覚を持つことが大切です。

POINT
管理職やリーダーになって部下指導や育成がうまく行かないときは、、これまでの専門分野におけるプレーヤーとしての自信は脇において、「部下育成に関して自分は素人である」という自覚を持つことから始める。


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